文書の作成から共有、追跡、そして電子署名まで、ユーザーからの評価が高い4つの無料の電子契約システムをご紹介します。

無料で電子署名可能な電子契約システム

電子契約システムは、契約プロセスにおける手間を大幅に削減し、その効率を飛躍的に高めるためのツールとして、多くの組織にとって欠かせない存在と言えるでしょう。品質管理やリソース管理の課題も見事に解消し、文書処理をより強固にサポートします。特に、電子署名機能を備えたシステムは、現代の「脱ハンコ」の流れにも適しており、契約文書の作成から署名、そして検証までのステップをスムーズに進めることができます。

日本情報経済社会推進協会 (JIPDEC) の調べによると、2022年には約7割の企業がすでに電子契約システムを導入していました。さらに、Statistaの予測では、電子契約サービスの市場規模は2025年までに390億円に達するとされています。これらのデータを踏まえると、電子契約ソフトウェアの導入を検討する企業は今後さらに増えると考えられます。 

この記事では、日本の中小企業が利用できる、高評価の4つの電子署名ソフトをアルファベット順にご紹介します。選定の対象となったソフトウェアは、電子署名機能及び認証機能を備えた日本語対応製品で、無料版 (完全に無料で利用可能なソフトウェア) を提供しており、キャプテラのユーザーによる総合評価が4点満点中4.4点以上のものです。詳しい選定方法については、本記事の末尾をご覧ください。

電子署名可能な電子契約システム
Boxの契約テンプレート (出典)

評価ポイント (5​つ​星満点中)

  • 総合評価 4.4 星
  • 使いやすさ 4.4 星
  • カスタマーサービス 4.2 星
  • 機能 4.4 星
  • 価格の妥当性 4.3 星

Boxは業務効率化ツールであり、契約書など各種文書の作成、保管、署名も行えます。自分のファイルを保存するストレージ空間や、バージョン管理機能を利用することができ、外部のパートナーや共同作業者と連携して作業し、電子署名を通じて文書を安全に管理することも可能です。

主な特徴には、自社向けにカスタマイズ可能なブランディング機能、電子透かしの埋め込み、メタデータテンプレート、ユーザー追跡、部門ごとにカスタマイズ可能なワークフロー管理、アクセス権限設定、そしてデータ損失防止 (DLP) 機能などがあります。また、監査証跡や、モバイルデバイス上で受け取った文書を確認し署名するためのモバイル署名キャプチャ機能も搭載しています。

Boxは、10GBのストレージと250MBまでのファイルアップロード、1か月に最大5つまでの電子署名が利用できる「Individual」プランを無料で提供しています。さらに、14日間の無料トライアルを通じて有料プランを試すこともできます。「Business Starter」プランには、ユーザー数、電子署名の数、ファイルのアップロードサイズに制限があります。「Business」プランにはこれらの制限がなくなりますが、外部のコラボレータ (共同作業者) が組織のBox環境にアクセスする際には、有料アカウントが必要となります。このアカウントの要件は、「Business Plus」、「Enterprise」、「Enterprise Plus」のプランでは不要となっており、さらに多くの制御、追跡、可視化、委任、カスタマイズのオプションを利用できます。

Dropbox Sign - 電子署名可能な電子契約システム
Dropbox Signの署名フィールドのカスタマイズ (出典)

評価ポイント (5​つ​星満点中)

  • 総合評価 4.7 星
  • 使いやすさ 4.7 星
  • カスタマーサービス 4.5 星
  • 機能 4.6 星
  • 価格の妥当性 4.6 星

Dropbox Signは、社員の内定通知書、販売契約書、秘密保持契約書 (NDA) など、様々なタイプの文書を発行するために使用できます。企業のバックオフィススタッフや法務部門は、Webを介して、またはモバイル署名キャプチャを使用して、安全に電子署名を行うことが可能です。また、単一または複数の当事者から署名を得るために、文書を共有し、一括で送信することもできます。進捗確認、ブランドのカスタマイズ、署名リクエスト機能を統合したワークフロー管理ツール、さらに監査証跡などの機能を備えています。

無料のDropboxプランでは、Dropbox Signの電子署名機能を一回限り利用できます。個人ユーザーでアップグレードオプションを検討されている場合、4つの有料プランのうちの「Essentials」と「Dropbox One」の2つのプランが対象となります。個人ユーザー向けであるため、署名リクエストを送信できるのは1ユーザーだけになっています。両プランともに、内蔵テンプレート、5つのインテグレーション、モバイルアプリが提供され、署名と署名依頼は無制限に行うことができます。「Standard」プランと「Premium」プランは、さらに多くのユーザーが署名をリクエストでき、より多くのテンプレートを利用できます。これらのプランでは、対面署名 (モバイルキャプチャー)、ブランド設定、レポート、SMS認証にも対応しています。Dropbox Signはすべてのプランで30日間の無料トライアルを提供しています。

iLovePDF - 電子署名可能な電子契約システム
iLovePDFの署名機能 (出典)

評価ポイント (5​つ​星満点中)

  • 総合評価 4.7 星
  • 使いやすさ 4.8 星
  • カスタマーサービス 4.3 星
  • 機能 4.7 星
  • 価格の妥当性 4.7 星

iLovePDFは、機密データを扱う法務部門、賃貸仲介業者、医療従事者、行員などの企業ユーザー向けに、WebやiOS、Androidのモバイルアプリを通じて、PDF文書のスキャン、編集、署名などを行うツールです。このPDFツールキットでは、PDFファイルの結合、圧縮、分割、変換、透かし、ロック解除、修復、注釈の追加、保護、および検証を行うことができます。請求書のような文書をスキャンして他の形式に変換したり、他のユーザーと共有して署名をリクエストしたり、監査証跡機能で進捗状況を追跡したりすることもできます。また、モバイル署名キャプチャや自社向けのブランディング機能なども利用することが可能です。

iLovePDFの「無料」プランでは、ユーザーはすべてのWebベースのツールを利用できますが、処理できる文書に制限があります。有料の「プレミアム」プランにアップグレードすると、iLovePDFのすべての機能を、広告なしで、デスクトップやモバイルデバイスから利用できます。「プレミアム」ユーザーは、多くの電子署名、PDF/A (長期保存のためのファイル形式) 変換、文書スキャン用の光学式文字認識 (OCR) 機能を利用でき、無料のカスタマーサポートも提供されます。「ビジネス」プランでは、「プレミアム」プランのすべての機能に加えて、カスタム証明書、より多くの電子署名数、専用ハードウェア、専用のアカウントマネージャーが提供されます。

SignRequest - 電子署名可能な電子契約システム
SignRequestの署名ログ (出典)

評価ポイント (5​つ​星満点中)

  • 総合評価 4.7 星
  • 使いやすさ 4.6 星
  • カスタマーサービス 4.6 星
  • 機能 4.5 星
  • 価格の妥当性 4.7 星

SignRequestは、ユーザーが様々なデバイスから文書をアップロードしたり、共同で文書を作成したり、そしてステークホルダーに送信したりするためのツールです。これらの文書はプラットフォーム上で安全に保管され、リアルタイムで通知を受け取ることができます。SignRequestは、Zapierにある生産性アプリとの2,000以上のインテグレーションをサポートしています。また、モバイル署名キャプチャ、監査証跡、サードパーティインテグレーションのためのアプリケーションプログラミングインタフェース (API) も提供しています。

SignRequestには「Free」、「Professional」、「Business」の3つの料金プランが用意されています。「Free」バージョンでは、毎月10個の文書まで無料で電子署名を行うことができ、ユーザーは様々なデバイスからこれらの文書に電子署名を行うことができます。さらに、最大15の言語と監査証跡機能をサポートしていますが、テンプレートや自社向けのブランディング機能は利用できません。「Professional」と「Business」の両方のプランは、毎月課金されます。これらのプランでは、14日間の無料トライアルを利用できます。 

「Professional」プランでは、自社向けのブランディング、メールサポート、公開署名のリンク、テキストメッセージ認証、リマインダー機能を利用できます。1つのチームがサポートされ、5つのテンプレートが付属しています。「Business」プランでは、ユーザー、文書、テンプレート数に関するすべての制限なく利用できます。「Business」プランの追加機能には、インテグレーションや、複数の当事者に署名をリクエストするために文書を一括送信するオプションなどがあります。

ツール選びの際の注意点

電子契約システムは契約プロセスの迅速化、効率化、リスク軽減の面で非常に有効です。しかし、導入する際には以下の点を考慮する必要があります。

  • 法的要件 電子署名法などにより、ほとんどの契約が電子形式での締結が可能になっていますが、一部で電子契約が認められない場合もあります
  • 業務フローの見直し 書面からの移行や、成長する企業ニーズに応じて、電子契約システムの機能拡張や業務フローの変更が必要になる場合があります
  • 取引先の了承 書面契約を優先する企業もありますので、電子契約に移行する前に取引先の同意を得ることが大切です
  • 長期的な文書管理 電子契約文書を適切に保管し、必要に応じてデータのバックアップや復元を行うことが推奨されます

電子契約のSaaSやソフトウェアをお探しでしたら、キャプテラの電子契約・電子サイン・電子署名ツールのリストをぜひご覧ください。


本記事で取り上げた製品の選定方法 

製品の選定は、以下の基準で行いました。

  • 市場定義 キャプテラによる「電子契約・電子サイン・電子署名ツール」の定義に該当するSaaS・ソフトウェアであること。すなわち、「契約書などをデータ化した電子文書にして、署名や押印、本人確認などを電子的なプロセスで行える」こと
  • 中核機能   電子署名、認証など、このソフトウェアカテゴリーの中核となる機能を備えているツールであること
  • 利用可能な国・言語 日本で利用することができ、日本語に対応していること
  • 価格オプション 無料プランを提供していること
  • レビュー件数の条件 2021年7月10日から2023年7月10日までの2年間で、検証済みのユーザーレビューが20件以上ある製品であること
  • 評価の条件 総合評価で、5つ星中4.5以上の星数を得ていること。また、「使いやすさ」、「カスタマーサービス」、「機能」、「価格の妥当性」においても高評価獲得
  • 以上の条件を満たす製品のうち、評価上位5製品を選定