電気代高騰とエネルギー問題対策:中小企業の取り組み

2022/12/19 執筆者: Alberto Sakai

「電気料金値上げに対する中小企業の意識調査」シリーズの第2弾。エネルギー管理のためのソフトウェアにはどのようなものがあるのか、また、企業がどのような対策をとっているのかを解説します。

電気料金値上げに対する中小企業の意識

原油価格などの高騰に伴い、電力料金の値上げが相次ぎ、企業・家庭ともに省エネ・節電対策で頭を悩まされていることでしょう。こうした中、キャプテラは、電力料金の値上げが中小企業に与える影響とその対策を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施し、その結果を2回連載でお届けしています。第1回の記事のポイントとして、電力問題の影響を受けた企業の68%が収益が減少したこと、製造業が存続の危機を最も懸念している一方、情報技術・テクノロジーの業界が最も安心していること、などを挙げることができます。

今回の第2弾では、節電対策や再生エネルギー利用などを含むエネルギーマネジメントに関する質問を取り上げます。アンケートの対象となったのは、物理的な職場 (オフィス、事業所) を持つ250人規模までの中小企業の経営者・管理職(ここでは「意思決定者」と総称)となりました。調査の概要は文末をご覧ください。有効回答者は262名で、そのうちの44%が会社の経営者、26%が幹部・役員クラス、30%が上級管理職 (部長クラス) でした。

空調での省エネ対策の実施は約半数

前回の記事で紹介したように、本調査回答者の80%が自社で電気料金値上げを経験しており、そのうちの97%が業績への影響を受けています。本節では、電気代値上げの影響を受けたという回答者群 (203人) を対象に、会社内での省エネ対策について質問しました。

まずは、職場での空調設備については、41%が電力コストの上昇によりエアコンなどの使用を抑えることになったと答えています。しかし、電気代上昇にもかかわらず、暑さ寒さ対策に空調設備を従来通り使用しているのは59%と半数を超えています。

職場環境に直結するエアコンなどの空調設備は、節電の観点からは見直すべきポイントではありますが、夏場・冬場での利用を控えるべきかどうかとなると意見が分かれるところでしょう。

電気代の上昇に対する空調利用

経済産業省の資源エネルギー庁は、省エネに関する広報物をまとめています。電力使用量の削減に関心のある企業の方は、一読の価値があります。

例えば、冬季におけるオフィス内での省エネ対策として以下のものがあります

  • OA機器 スタンバイモードの活用
  • 暖房 昼間の日差しを取り入れたり、ひざ掛けを使って過ごすなどのウォー ムビズを実践
  • 照明 人感センサーを活用して消灯する、または思い切ってLEDに変える
  • 給湯器 温度を下げる、または省エネタイプに買い替える

また、業界ごとにできる対策についてのアドバイスも盛り込まれています。例えば製造業の場合、電力ピーク値を抑えることで電気の基本料金を抑えることができ、大型機械の稼働時間をずらす取り組みが可能になります。さらに作業工程を見直せば、機器の予熱時間を短縮するなど、設定を変更することだけで省エネにつながります。飲食業の場合は、スマートメーターを導入することで電力使用量が可視化され、従業員の省エネ意識が向上します。

再エネ導入のハードルはどこに?

温暖化対策や脱炭素政策の一貫として、再生可能エネルギーの導入は以前より推進されてきていますが、企業にとっては災害時の電力確保のほか、電力コストの低下につながるメリットがあります。今回のアンケートの全回答者のうち、7%のみが自社で消費エネルギーの一部を再エネで賄っていると答えており、中小企業における再生可能エネルギーの普及率がまだまだ低いことを示しています。当社が他国で行った同内容調査の結果と比較してみると、日本と海外の回答が対照的であることが分かります。下のグラフの通り、オランダ (36%)、オーストラリア (32%)、フランス (43%)、そして英国 (34%) では再エネシステムの導入率が比較的高い水準にあります。

再エネの導入・国際比較

日本の場合は最も多い回答は「再生可能エネルギーの利用には関心がない」(44%) 、次いで「現在導入していないが、再生可能エネルギーの利用に関心がある」(36%) となりましたが、それぞれの回答者群に、再エネを導入していない理由を聞きました。それをまとめたのが下の図です。

再エネを導入しない理由

ご覧のように、いずれの場合も自然エネルギーを利用しない主な理由は、「コストの高さ」と「必要性の有無」に関連しています。関心を持っていると回答した意思決定者の間では、ここ1年で再エネ導入の必要性を感じた人が多い一方、関心を持っていない人のほとんどはその必要性を全く感じていないようです。

いわゆる「再エネシフト」にはもう少し時間がかかりそうですが、国はエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合を36%~38%までに引き上げることを目指しており、それに向けた取り組みが進められていることを考えると、今が導入する良いタイミングかもしれません。しかし、踏み切ることをためらう場合は、エネルギー消費を管理するソフトウェアを活用することも、省エネに貢献する方法のひとつです。これについては、次節で詳しく見ていきましょう。

認知度の低いエネルギー管理ソフト

エネルギー管理ソフト」にはさまざまなツールが含まれます。例えば、以下のようなものがあります。

正にこの時代に役立つ強力なパートナーともいうべきツールですが、この種のソフトウェアの認識について伺ったところ、全回答者の約半数はエネルギー管理ソフトの存在さえ知らなかったと答えています。次いで、そのようなソフトの存在は知っていたけど「名前は知らなかった」のが26%、「名前は聞いていたが、何のためなのか知らなかった」のが16%で、最後に「エネルギー管理ソフトについてよく知っていた」のは7%に留まっています。

当然ながら、エネルギー管理ソフトの使用率は、その認知度と比例して非常に低いことが予想できます。この点について聞いたところ、以下の回答が得られました。

エネルギー管理ソフトの使用

最も多い回答は「関心がない」で48%となりましたが、その最大の理由は「必要がないから」だと分かりました (関心がないと答えた人の51%) 。一方、エネルギー管理ソフトを「使用していないが、関心がある」のは全体の44%で、決して低い割合ではありません。まだ導入していない最大の原因は「これまで重要視してこなかったから」(関心がある人の45%) で、関心がある理由の上位に「省エネルギーのため」(42%)、「支出をリアルタイムで把握するため」(36%)、「いつエネルギーを非効率的に使用するのかを調べるため」(32%) が並びます。

再生可能エネルギーシステムに対する意見でも見られたように、今年に入ってから省エネ対策に関心を持つ企業が増えており、そのような取り組みについての情報やサポートが充実すれば、今後も意識がより向上すると考えられます。

まとめ

今回ご紹介したアンケート結果の要点をまとめましょう。調査に参加した中小企業意思決定者によると、

  • 80%が再生可能エネルギーを導入していないが、そのうち36%は「関心がある」
  • 51%は「エネルギー管理ソフト」の存在を知らなかった
  • しかし今年に入ってから、再エネシステムやエネルギー管理ソフトに対する関心が増えている

エネルギー消費の管理と最適化は、今後ますます重要性を増していきます。市場の変化に目を配るとともに、この状況を克服するために役立つツールを知っておくと有利になるでしょう。

エネルギー管理のソフトウェアをお探しですか? キャプテラのエネルギーマネジメントシステムのリストをぜひご覧ください。


本記事は、当社が実施した「電気料金値上げに対する中小企業の意識調査」の結果をまとめたものです。調査期間は2022年10月27日〜11月7日、全国の中小企業に勤める経営者や管理職に対してオンラインで実施しました。有効回答数は262人でした。以下の条件に合致する方を対象としました。

  • 日本在住者であること
  • 2〜250人規模の中小企業の経営者、役員、または部長クラス以上の管理職であり、自社のビジネスモデルを把握していること
  • 会社については、
    • 2022年10月の時点で設立してから1年以上経過していること
    • 相当数の従業員が働ける物理的な職場 (オフィス、事業所) を構えていること
    • 「製品・商品」または「サービス」を提供していること
    • その製品・商品・サービスを自社で開発、販売している、もしくは他社から製品・商品・サービスを購入し、自社で販売していること

日本の人口構成を反映するようサンプリングされています。なお、本文で言及されている国際調査も同時期に実施し、次の有効回答数を得た:オランダ (260人)、オーストラリア (259人)、フランス (350人)、英国 (388人)。

この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。