会計ソフト

文責: 酒井アルベルト、Lisa Morris

会計ソフト選びの必須情報

会計ソフトは、取引で発生した債務 (買掛金) や債権 (売掛金) の追跡、請求書発行、正確な財務記録 (総勘定元帳) の保持などの作業を自動化して、財務管理を簡素化します。会計業務に関するあらゆる機能を搭載しており、財務状況をリアルタイムで把握できるようにします。

会計ソフトは、会計士、経理、経営者、財務責任者、事業部門など、さまざまな専門家によって使用されます。帳簿の整理、支出の監視、財務実績に関するレポートの作成、税務コンプライアンスの維持などに役立ちます。

市場にある会計ソフトの多くは月額料金制になっています。エントリーレベルのプランは通常月額13ドル (約1,940円) から299ドル (約44,630円) であり、ユーザー数1～4人まで利用可能です。 プレミアムおよび高機能なシステムの月額料金は、最大で499ドル (約74,5000円) になる場合もあります[1]。過去1年間で、キャプテラのアドバイザーがヒアリングした会計ソフト購入者のほぼ半数 (47%) の予算は月額210ドル (約31,300円) 未満でした[2]。

初めて会計ソフトを購入する際には、予算、ユーザー数、具体的なユースケース、必要となる連携機能などを考慮して、選択肢を検討するべきです。 社内外の関係者に相談しながら、ベンダーに対する質問を予め用意しておき、自社のニーズに合った最適なシステムを特定することが重要です。以下のような事項について確認すると良いでしょう。

• カスタマイズした財務報告書を簡単に作成、管理、共有できるか？
• 銀行勘定調整表の不一致はいつ、どのように検出されるか？
• 既存システムとスムーズに連携でき、包括的なデータ接続を行うことができるか？
• 事業支出を簡単に監視できるか？また、支出の変化を確認できるか？
• リピート客への定期的な請求の設定など、顧客への請求書を簡単に管理できるか？
• どのように会計担当者の活動を監視し、認証プロトコルを強制できるか？

最もレビューの多い会計ソフト

キャプテラは、ユーザー評価や人気度を組み合わせた独自の手法に基づき、注目の会計ソフトを特定しています。これにより、小規模事業者が自社のニーズに最適な製品を効率的に見つける手助けをしています。以下、「会計ソフト」カテゴリーで最もレビューの多い5つの製品を紹介します。

このランキングは、検証済みのユーザー評価と、一般公開されているWeb検索による人気度データを組み合わせて決定されます。

• 評価スコア：キャプテラのユーザーによる評価に基づくおすすめソフトウェアの相対スコア。レビュー件数とレビューの新しさを考慮して正規化されています。
• 人気度スコア：Web検索のトレンドとWebにおける製品のプレゼンスに基づくソフトウェアの相対的な人気度。

会計ソフトとは？

会計ソフトとは、企業が日々の財務を管理するためのツールです。つまり、入出金を記録したり、取引をわかりやすい勘定科目に正しく分類したり、財務実績の概要を示したりするデジタルアシスタントのようなものです

会計ソフトを導入すれば、スプレッドシートや紙媒体を使わずに経費の追跡が可能となり、取引の記録、請求書の作成と送付、詳細な財務報告書作成を行うことができます。

ガートナーの予測によると、財務管理ソフトのグローバル市場は、2026年までに244億ドル (約3.6兆円) に達する見込みです[3]。

キャプテラでは、1,081の会計ソフト製品を掲載しており[4]、過去1年だけでこれらのソフトウェアユーザーによる6,762件の検証済みレビューを公開しています[5]。

会計ソフトの価格体系

会計ソフト市場の多くの製品は月額料金制で、エントリーレベルのプランは月額平均144ドル (約21,500円)、ユーザー数1～4人まで利用できます。 プレミアムおよび高機能なサブスクリプションを利用する場合の一般的な月額料金は約312 (約46,500円) となります。

• エントリーレベルの会計ソフトには、総勘定元帳、買掛金および売掛金機能、財務報告、銀行勘定調整などのコア機能が含まれています。
• プレミアムおよび高機能なシステムには、損益計算書・貸借対照表、経費精算、請求書・インボイスの作成や発行、在庫管理などの機能がついていることも多いです。

キャプテラのアドバイザーが過去1年間にヒアリングした会計ソフトの購入者のうち、ほぼ半数 (47%) の予算は月額210ドル (約31,300円) 未満でした。

初めて会計ソフトを購入する際には、以下の点に注意が必要です。

• 初期費用には通常、初期設定、トレーニング、データ移行が含まれます。
• 運用コストには通常、メンテナンスとカスタマーサポートが含まれます。

一部のベンダーは無料プランを提供してますが、機能が大幅に制限されており、ユーザー数にも制約があります。

また、有料契約を結ぶ前にシステムを試用できるように、 無料トライアルを用意する製品も多くあります。 候補となる製品を少数に絞り込み、最終的な決定を下す前に、製品が自社に合っているかどうかを確認するために有用な手段です。

会計ソフトのユーザーが評価する機能

全ての会計ソフトは、総勘定元帳や銀行勘定調整など、会計業務に必要な基本的な機能を装備しており、他にも多くの製品に見られる一連の共通機能が含まれています。

高く評価されている会計ソフトのコア機能

• 財務報告：企業の財務実績を評価するためのレポートを作成します。 90%のレビュアーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 総勘定元帳：総勘定元帳は帳簿の一種であり、すべての財務取引を記録して一元管理します。 86%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 銀行勘定調整：会計記録と取引明細書を照合し、不一致を特定します。 82%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 買掛金と売掛金：企業が債権者や仕入先に対して負う債務 (買掛金) と、顧客が企業に対して負う債務 (売掛金) を管理します。 77%のユーザーが買掛金機能を、73%のユーザーが売掛金機能を、「必須」または「非常に重要」と評価しています。

高く評価されている会計ソフトの一般的な機能

キャプテラは独自の方法でレビューデータを分析し、ユーザーが有益であると評価している他の一般的な会計ソフトの機能を特定しています。これらの機能を以下に紹介します。

• 損益計算書・貸借対照表：特定時点における資産、負債、純資産など、企業の財務状況を詳細に記載した財務諸表を作成します。 92%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 経費精算：日々の会社の経費を詳細に記録し、購入や請求などの資金フローを確認します。 80%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 請求書・インボイスの作成や発行：顧客への請求書を作成、管理、送信します。 81%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。
• 給与管理：従業員の給与計算や支払、データ、税金、記録の管理を効率的に行います。 73%のユーザーがこの機能を「必須」または「非常に重要」と評価しています。

ユーザーが挙げる会計ソフトの最大のメリット

円滑な財務管理：会計ソフトのユーザーは、全ての財務活動を単一のプラットフォームから管理でき、リアルタイムの財務情報に簡単にアクセスできることにより、財務状況を把握しやすくなったと述べています。

「会計および資産管理から、財務計画やデータ分析までの財務プロセスを一元化し自動化できることが気に入っています。」

—Mark P.、消費財企業の財務アナリスト

チームコラボレーションの強化：会計ソフトのユーザーは、財務データへの一元的なアクセスによって、確認のプロセスが簡素化され、チームの生産性が向上することを評価しています。 ファイル送受信の待ち時間がなくなるため、請求書や財務諸表の確認作業が迅速に行えます。

「会計チームの全員が請求書や報告書などの同じ情報を参照して簡単に協力して作業できる点が気に入っています。」

—Hannah H.、コンピューターソフトウェア企業の人事・会計のスペシャリスト

小規模企業の成長支援：利用者によると、会計ソフトは小規模企業のビジネス成長に役立ちます。特に、必要な全ての機能を単一のソフトウェアで利用できるオールインワン型ソリューションは、スタートアップ企業に最適です。 ビジネスが拡大した際に新しい機能を問題なく追加できるため、柔軟に対応できます。

「ビジネスが成長し、業務形態が時間と共に変化するときでも、会計ソフトには実装を拡張できる多くのモジュールがあります。」

—Phillip S.、保険会社の上級会計士

帳簿の合理化：会計ソフトは、取引を自動的に取得し、全ての情報を一元管理することで、簿記プロセスを大幅に簡素化する点で評価されています。これにより、必要な情報に簡単にアクセスできるようになります。

「会計ソフトの帳簿機能は非常に効果的であり、財務関連の書類、ファイル、契約書、請求書、領収書などをすべて整理して保存でき、簡単にアクセスできます。」

—Robert M.氏、非営利団体の会計士

ユーザーが挙げる会計ソフトの主な課題

会計ソフトの多くのレビューにおいて否定的な評価をもたらしている直接的な原因は、運用が困難という問題です。 ユーザーが指摘している一般的なデメリットには、接続速度の遅さ、システムの遅延時間、アップデートの不具合によるワークフローの中断などがあります。 カスタマーサポートの対応が遅かったり、提示された解決策に効果がなかったりすると、これらの問題はさらに悪化します。

特に小規模な企業のユーザーからは、価格体系についての懸念も多く寄せられています。 会計ソフトを検討しているほぼ半数の購入者 (47%) は、すでに会計ツールを使用しているものの、価格が高いためにプロバイダーの変更を検討しています。また、機能が不足していることも理由の一つとして挙げられています。

これらの課題を効果的に解決するために、購入前に製品のデモを要求したり、アドバイザーに相談したりすることが重要です。 また、キャプテラに掲載されている会計ソフトの約45%は無料トライアルを提供しています。トライアルを利用して、基本的な機能と高度な機能の両方を自社で十分にテストしてから、最適な会計ソフトを選定しましょう。

会計ソフトの用途

キャプテラがさまざまな会計ソフトのレビューを分析した結果、一般的なユースケースが明らかになりました。

• 帳簿のデジタル化：企業は会計ソフトを導入して、売上記録の管理から取引明細書の照合までの一連の帳簿作業をデジタル化することで、ミスを軽減し、データ入力にかかる時間を短縮できます
• 請求処理の自動化：会計ソフトを使用すれば、請求書を自動的に送信し、定期的に請求するように設定でき、一貫性のあるプロフェッショルな方法で請求業務を行うことができます。
• 経費の追跡：　会計ソフトを活用して、業務の支出と収益を監視し、取引の承認や拒否、予算管理を容易にできます。
• 税務処理：　会計ソフトを使用すると、償却資産 (税控除の対象) を容易に特定でき、四半期または年次の確定申告書を容易に作成できます。
• 財務報告の向上：　会計ソフトを使用することで、報告サイクルを短縮でき、より頻繁かつ正確に財務諸表を作成できます。 これにより、詳細でカスタマイズされたレポート作成を可能とし、よりスマートな意思決定につながります。

また、特定の業界の要件に合わせて設計されている以下のような会計ソフトも利用できます。

• 会計実務管理ソフト
• 自動車ディーラー会計ソフト
• 建設会計ソフト
• リース会計ソフト
• NPO法人会計ソフト

どんな人が会計ソフトを使うのか？

会計ソフトは、企業が財務管理のために最初に導入するツールの一つです。 会計ソフトは、企業の規模や業態に関わらず、財務や会計を担当する以下のようなさまざまな専門家にとって非常に役立ちます。

• 簿記担当者
• 経理・会計担当者
• 財務マネージャー
• オペレーション担当マネージャー

過去1年間に会計ソフトについてキャプテラに問い合わせた多くの企業は、年間収益が100万ドル (約1.5億円) 未満で、従業員およびソフトウェアユーザーが5名以下の小規模な企業の事業主でした。 キャプテラがヒアリングした企業の中で、会計ソフトを最も多く購入しているセグメントは、非営利団体 (15%) と会計事務所 (9%) となっています。

主なユーザーは、企業の創業者や経営者、支配人、最高財務責任者、会計士、会計担当者などの役職を持つ人です。

会計ソフトの主な連携先システム

キャプテラの膨大なレビューデータベースを分析した結果、会計ソフトと最も多く連携されているツールは、決済システム、給与計算ソフト、顧客管理システム (CRM)の3つでした。 広く利用されているこれらのシステムと会計ソフトを連携させることで、複数のソースからの財務情報を一元化し、財務情報の処理フローを自動化できます。

多くの購入者 (68%) が、スタンドアロン型の帳簿システムよりも統合型の会計ソフトスイートを好んで利用しています。 このような包括的なソリューションは、請求書業務、経費精算、給与計算など、さまざまな会計ニーズに対応しており、異なる業務をシームレスに連携させることができます。

会計ソフトの注目トレンド

データセキュリティへの重要性の高まり：サイバー攻撃が巧妙化し頻度が高まる中で、購入者はセキュリティ対策に優れたソフトウェアベンダーを優先するようになっています。 金融業界は、主にお金や機密データを扱います。そのため、ビジネスリスクを軽減し、ダウンタイムや混乱を防ぐために、強力なデータ整合性機能を提供するソフトウェアプロバイダーを探す必要があります。

会計ソフトについて詳しく知るための関連情報

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出典一覧

1. キャプテラの製品価格情報：キャプテラは、価格情報が一般に公開されている製品およびカテゴリで認定されたソフトウェア製品のみを、価格分析の対象としています。日本円価格は投稿時の為替レートに基づいており、現在の為替レートとは異なる場合があります。調査方法の詳細は、こちらをご覧ください。

2. キャプテラのアドバイザーの「コールノート」：会計ソフトを必要とする中小企業と、キャプテラのアドバイザーチームとの間で行われた電話での会話データを分析したものです。本稿では、過去1年間の電話でのヒアリングを対象にしています。調査方法の詳細は、こちらをご覧ください。

3. Software Market Insights: Accounting and Finance (英語), Gartner

4. キャプテラの全カタログに掲載されている製品数を示しています。

5. キャプテラのレビューデータ：キャプテラサイト上の個別のソフトウェア製品に対する、検証済みユーザーによる評価レビューを分析してものです。 本稿では、執筆時から過去2年間のレビューを対象にしています。キャプテラのレビュー検証プロセスについての詳細は、こちらをご覧ください。