【SNS購買行動調査 part2】オンライン消費者の24%がソーシャルコマースの経験あり

2023/1/16 執筆者: Alberto Sakai

近年では、SNSは集客手段だけでなく、販売チャネルとしても活用されるようになりました。キャプテラが実施したソーシャルコマース調査の報告記事第2弾では、ソーシャルメディア上での購買行動を明らかにします。

ソーシャルメディア上での購買行動

ソーシャルメディアが人々の生活に浸透するにつれ、eコマース事業者のSNS活用のあり方も変化しています。多くの企業がデジタル時代で成長を目指す中で特に注目されているのが、SNS上で商品の検索・詳細確認、そして購入まで可能とする「ソーシャルコマース」です。それを実現するためにはソーシャルメディアマーケティングeコマースに取り組む必要がありますが、消費者のニーズや行動を把握することも求められます。

キャプテラでは、ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施しました。前回の報告記事では、ソーシャルメディアの利用目的や情報源としての役割などを取り上げ、今回の第2弾では購買体験や購買行動に焦点を当てます。調査対象は、普段からSNSを利用しており、よくオンラインで商品やサービスを購入する国内の「オンライン消費者」で、1,036人の有効回答を得ました (実施の概要は文末をご覧ください)。

約1/4のオンライン消費者がSNSで購入経験がある

ソーシャルメディアは、友人や家族とのやり取りや、アーティストのフォロー、最新ニュースやトレンドの確認など、様々な目的に利用される日常的なコミュニケーション手段ですが、どの程度の人がソーシャルメディアを通じて買い物をしているのでしょうか。そこで、まずは本調査の参加者全員に、ソーシャルメディアを通じて商品やサービスを購入したことがあるかどうかを尋ねました。これは、SNSプラットフォーム内での購入決済に限らず、例えば、SNSの投稿から企業サイトやマーケットプレイスに転送された場合も含まれます。

その結果、ソーシャルメディアを通じて購入したことがあると回答したのは24%でした。ただし、29%はソーシャルコマースの経験がないものの、将来的には「興味はある」と前向きな姿勢を見せています。残りの約半数 (47%) は、購入したことも興味もないという結果となりました。

総合的には、ソーシャルメディアを通じての購入に関心を示さない回答者が多いですが、年齢別で見ると状況には大きな差があることが分かります。すなわち、年齢層が若いほど、購入経験者、購入意向者の割合が高く、25歳以下では「興味なし」が少数派となっています。このように若年層の利用率が高いということから、まだまだ拡大の余地があると考えられます。

年齢別ソーシャルコマース経験

ソーシャルコマース経験者の購買行動

続いて、SNS経由で購入したことのある回答者 (全参加者の24%) を対象に、ソーシャルコマースの経験について掘り下げる質問をしました。

InstagramとLINEがECプラットフォームとして優位に立つ

まずは、どのSNSで商品やサービスを購入したことがあるかを伺いました。10%未満の回答を得たものを除いて、結果は以下の通りになりました。

  • Instagram 43%
  • LINE 42%
  • Twitter 24%
  • Facebook 17%

本調査の回答者の間では、最も利用されているプラットフォームはInstagramでしたが、LINEも同等の利用率を示しています。先程も触れましたが、広義のソーシャルコマースはSNS上で商品を探して、そこから企業サイトやマーケットプレイスに飛び、購入決済をするショッピング行動も含まれます。この場合、企業が商品やサービスを紹介する際に、商品の一覧をカタログの形式で提供することがよくあります。一方、ショッピング機能が取り入れられている場合は、SNS上で購入と決済が完結します。

SNSのショッピング機能

ソーシャルメディアにおけるショッピングとは、一般的には「商品カタログ」と「決済」機能を指します。

  • 商品カタログ機能とは、SNS上で商品の写真や詳細情報を閲覧することができる機能のことです。「LINEショッピング」や「Instagramショッピング」に出店するブランドやお店は、ECショップのような形で紹介され、商品の情報を一覧表示するほか、価格や特徴を比較することができます。
  • 支払いについては、SNS上の商品ページにリンクを貼って、そこからお客さんを外部サイトへ転送することが最もシンプルな方法でしょう。しかし、決済機能を使うと、商品の出品や購入、決済までの全ての手続きをアプリ内で完結させるので、顧客エクスペリエンスの向上につながります。そういった決済機能の例としては、TikTokの「コマースソリューション」やLINEの「Checkout」があります。

最も人気の商品ジャンルは「ファッション」

ソーシャルコマースの可能性を探る企業にとって気になるポイントの一つは、通常のオンラインショッピングと、SNS上のショッピングの違いでしょう。SNS上で購入する商品について尋ねたところ、半数以上 (57%) が「通常のオンラインショップ」で買う商品と異なるものを購入することがあると答えました。

また、ソーシャルメディアでどのような商品やサービスを購入したことがあるのかを複数回答で選んでもらいました。その結果、最も選ばれたジャンルのトップ5は以下の通りです。

SNS上で最も購入されている商品・サービス

ソーシャルメディアでの購入にかける月々の平均金額については、大半の回答者(57%) は最も低い金額帯「毎月150円~7500円」を選択しました。言うまでもないかもしれませんが、収入が高いほど消費支出が多い傾向も確認されました。

最後に、個人ユーザーの投稿やライブイベント、商品広告など、SNSには様々なコンテンツの種類がありますが、購買行動に最も影響を及ぼすものは企業が配信する「ブランド・商品の広告」であることが分かりました (56%)。これは、パート1で述べた情報源の好みと関連性があると考えられます。すなわち、ソーシャルメディアで商品やサービスに関する情報を得る際に、最も信頼性の高い発信元は「企業から直接提供されたもの」であることです。従って、日本のECブランドは、SNS上でのマーケティングに力を入れることで、購買意欲を高めることができるでしょう。

ソーシャルメディア上の購買行動

SNS内購入の利便性

先述の通り、ソーシャルコマースの魅力の一つはSNS内で直接購入が可能になることですが、その支払いはどのように行われるのでしょうか。プラットフォームによっては、消費者を外部のマーケットプレイスや企業サイトに誘導して決済を完了させる、いわゆる「リダイレクトペイメント」を採用しているものがあります。また、アプリ内に決済システムを導入し、ユーザーがSNSを離れることなく支払いができるようにすることで、消費者体験 (CX) を向上させるものもあります。

本調査では、ソーシャルコマース経験者の66%が通常SNSのプラットフォーム内で決済を完了させると答えており、残りの34%が外部のマーケットプレイスや企業サイトへ転送されて決済を行っています。SNS上で決済を完了させると答えた人のうち、ソーシャルメディア上の取引の最大の利点として73%が「決済が簡単」であることを挙げています。これは、最新のデジタル消費者トレンドのレポートでも述べましたように、今日のオンライン購入者が高い利便性を求める傾向と符合したものだと分析できます。

ソーシャルメディア上での決済方法

多くの人が恐れる「詐欺」──しかし、その真相は?

前回記事では個人情報の扱いについての問題を取り上げましたが、ここでは購入プロセスのセキュリティ問題について探りましょう。安全性に対する懸念は、購入経験者であるか否かによって温度差が見られます。

ソーシャルメディア経由で購入したことがないと答えた回答者を対象に、その理由を尋ねました。購入経験がないが、興味がある人の34%が、購入しない主な理由として、「詐欺が怖いから」を挙げています。同様に、ソーシャルメディアを通じて購入したことがなく、興味もない人の36%が同じ理由を挙げています。このように、「詐欺が怖い」という理由が最も多く選ばれていますが、果たしてソーシャルコマースでの詐欺はそれほど蔓延しているものなのでしょうか。購入経験がある回答者に聞いたところ、詐欺の発生率は非常に低いことがわかりました。14%が「詐欺にあったことがある」と回答し、86%が「詐欺の被害にあったことがない」と回答しています。

詐欺を経験した人の中で、最も多かった被害は下記の通りです。

  • 商品が届かなかった 29%
  • 商品が説明と違っていた 32%
  • 商品が偽物だった 24%
  • 銀行口座情報など、個人情報を聞き出そうとされた 9%
  • その他 6%

顧客満足に直結する「信頼感」

ソーシャルメディアにおいて、信頼と安心は顧客満足のための重要な要素です。企業は、ソーシャルメディア上で迅速かつ親身な対応を行い、フォロワーの間でコミュニティ意識を醸成することで、信頼を築くことができます。しかし、企業にとっては、顧客データを保護し、機密情報が漏洩しないようにすることで、セキュリティを優先させることも大切です。セキュリティの確保は、企業の評判を守るだけでなく、顧客との信頼関係を築くことにもつながるため、良好な顧客体験を実現するためには、「迅速性」と「セキュリティ」のバランスをとることが不可欠です。

今回の調査では、普段ソーシャルメディアプラットフォーム内で決済を行う人のうち、決済時の個人情報のセキュリティに対して一定の信頼を示しているのは4分の3まで上ることが確認できました。具体的な内訳は以下の通りです。

  • 全く信頼していない 2%
  • あまり信頼していない 23%
  • ある程度信頼している 66%
  • 全面的に信頼している 9%

それでは、これまでSNS上で購入したことのない人たちがソーシャルコマースに踏み切るためには、どのような条件が必要なのでしょうか。「興味ある」グループと「興味ない」グループで分けて、最も選ばれた条件を見ましょう。

ソーシャルコマースに踏み切る条件

共通の課題として浮上したのは、「明確な説明」が求められる点です。すなわち、取引のセキュリティを担保した上で、実施されている安全対策をきちんとユーザーに伝える努力も必要であることが分かります。前回記事ではSNS上でのセキュリティ強化の方法のヒントを紹介しているので、ぜひご参考にしてください。

まとめ

最後に、今回のデータで明らかになったSNS上の購買行動に関するポイントをまとめましょうう。

  • オンライン消費者の24%はSNSでのショッピング経験があり、若年層 (18歳〜25歳) では42%にまで上ぼる
  • 最も人気のある商品ジャンルは「ファッション、衣服、靴」
  • ソーシャルコマースにかける平均金額は月々150円~7500円
  • SNS購入者の大半はソーシャルメディア内での決済を好む
  • ソーシャルコマースの安全性が大きな懸念材料であるものの、実際の詐欺の発生率は低い
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本記事は、当社が実施した「ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動調査」の結果をまとめたものです。調査期間は2022年11月11日〜18日、全国のモニター1,036人に対してオンラインで実施しました。以下の条件に合致する方を対象としました。

  • 日本在住者であること
  • 18歳以上、76歳未満であること 
  • 6ヶ月に1回以上、オンラインで積極的に製品やサービスを購入していること
  • 少なくとも週に複数回、ソーシャルメディアを利用していること

年齢構成は下記の通りとなりました。

  • 18歳〜25歳 10%
  • 26歳〜35歳 18%
  • 36歳〜45歳 17%
  • 46歳〜55歳 21%
  • 56歳〜65歳 24%
  • 66歳~75歳  10%

注:本記事で紹介されたSNSプラットフォームは、各機能の例として取り上げられており、勧誘・推奨を意図したものではありません。掲載されている情報は、掲載時に信頼できると判断された情報源から入手されたものです。

この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。