【SNS購買行動調査 part1】ソーシャルメディア利用者の47%がブランド情報を毎日チェック

2023/1/9 執筆者: Alberto Sakai

SNS上で商品やサービスを手軽に検索し、購入できるようになってきたことから、ソーシャルコマースはショッピングのあり方に変化をもたらしています。利用者はどのようにソーシャルメディアを使い分けているのか?どの業界の企業情報が最もチェックされているのか?eコマースの最新トレンドにご興味のある方は、ぜひ本記事をご一読ください。

ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動調査

ソーシャルメディア (またはSNS) は、個人同士のコミュニケーションだけでなく、ビジネスやマーケティングなどの分野でも活用されています。近年のSNSプラットフォームは、商品やサービスを紹介し、それらを直接購入することができるようになっているため、eコマースチャネルとしての地位を確立しています。企業側はSNSをより重視しており、SNS分析ツールなどを利用して顧客の情報を収集したり、SNS広告費への支出を増やしたりしています。2021年におけるインターネット広告費全体のうち、ソーシャル広告 (SNS上の広告) が占める割合は35%を達しています。

このような状況を受けて、キャプテラは、ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施し、その結果を2回連載でお届けします。今回の第1弾では、ソーシャルメディアの利用目的、情報源としての役割、そしてセキュリティに関する質問を取り上げます。調査対象は、普段からSNSを利用しており、よくオンラインで商品やサービスを購入する国内の「オンライン消費者」で、1,036人の有効回答を得ました (実施の概要は文末をご覧ください)。

SNSの利用状況

まずは用語について一言説明しておきます。「ソーシャルメディア」と「SNS (Social Networking Service)」を区別する場合もありますが、本稿では同義語として使うことにします。広義のソーシャルメディアにはブログやビデオ共有サイトも含まれますが、今回の調査で対象になったのは個人のプロフィール、テキスト、写真・動画、ステータスアップデートなどを投稿して他のユーザーと交流することができるFacebookやInstagramのようなプラットフォームに絞りました。

日本で最も使われるSNSランキング

SNSは世界各国で利用されていますが、同じような機能を持つプラットフォームでも、国によって人気が異なるという状況が生じています。例えば、WhatsAppとLINEはともにテキストメッセージや動画・音声通話サービスを提供するアプリケーションとして、多くのユーザーに利用されていますが、前者は欧米で圧倒的に利用されている一方、日本や台湾を始めとするアジア諸国ではLINEが最も高い支持を集めています。

本調査に参加した日本のオンライン消費者の間では、最も利用されているSNSアプリは以下の通りとなりました。

消費者が最も利用するSNS

ご覧のように、ユーザーの9割がLINEをメインに使っていることが分かります。ちなみに、今回の調査では、年齢層による大きな差は見られませんでした。次いでInstagramとTwitterが5割強で拮抗しています。Facebookは以前と比べて利用者が減少していると言われながらも一定の基盤を維持しており、5年前に日本に上陸したTikTokもランクインしています。続いて、この5つのプラットフォームに絞って、それぞれどのように利用されているのかを見ていきましょう。

ソーシャルメディア別の利用目的

ソーシャルメディアは数多く存在しますが、それぞれ特徴や機能が異なり、ユーザーは利用目的に応じて使い分けています。以下のリストは、オンライン消費者が用途によってどのSNSプラットフォームを使っているかを示したものです。

SNSの主な利用目的

企業が効果的なSNS戦略を展開するには、プラットフォームごとに異なる特有のユーザー属性や利用目的があることを考慮した上で適切なコンテンツやアプローチを検討することが重要です。例えば、上記データからも分かるように、友人・家族とのやり取りにはLINEがダントツに利用されており、ブランドやアーティスト、インフルエンサーをフォローするために使われているのはInstagramとTwitterになります。すなわち、SNSマーケティングのキャンペーンを企画・実施する際には、各プラットフォームの特性、ターゲット層、使用するコンテンツやマーケティングツールなどを組み合わせて、最適な戦略を立てることが大切です。

商品やサービスの情報源としてのSNS

商品カタログやEC機能については次の記事に譲るとして、ここでは商品やサービスの情報源としてソーシャルメディアに注目したいと思います。企業やブランドは、SNSを通じて多くのユーザーにリーチできるとともに、画像などで商品やサービスを効果的に紹介することができます。また、ユーザー側にとっても、気になる製品などを簡単に検索できるメリットがあります。続いて、SNSが商品やサービスの情報源として果たす役割について見ていきましょう。

企業情報を検索する頻度

企業・ブランドに関する情報やニュースを検索するために、どの程度の頻度でソーシャルメディアを利用しているかを聞いたところ、上の図表が示す通り、「毎日」と回答した人が47%とほぼ半数であることが分かりました。また、週1回利用する消費者が25%います。この結果から、企業に関する情報を得る手段として、ソーシャルメディアは大いに活用されていると結論づけることができます。

次に、ソーシャルメディアで商品やサービスに関する情報や、おすすめ情報を得るときに、どのような発信元を参考にするのが良いのかについて、意見を伺いました。最も選ばれた情報元は「企業から直接提供されたもの」(36%) となり、続いて友人や家族 (22%)、テレビニュースや新聞などのメディア (20%)、そして意外にも「インフルエンサー、有名人」は15%で比較的影響力が弱いことが分かりました。

SNS上で最も好まれる情報源

また、コンテンツの種類について尋ねたところ、FacebookやInstagramの投稿などに見られる「静的コンテンツ」が、商品やサービスに関する情報を伝えるために最も適切なものだと感じられているようです (回答者の61%)。

ソーシャルメディアで発信するコンテンツの種類は、大きく3つに分けることができます。

  • 静的コンテンツ アカウントのフィードに永続的に残るコンテンツ (投稿、写真、動画など)
  • エフェメラルコンテンツ 期間限定のコンテンツ (LINEやTikTokの「ストーリー」、InstagramやFacebookの「ストーリーズ」など) 
  • ライブストリーミング 生中継で配信される動画コンテンツ (LINE LIVE, Facebook Live、Instagram Liveなど)

ソーシャルメディア上で最も人気のある業界

企業に関する情報を入手する手段としてソーシャルメディアは有効ですが、ユーザーは主にどの業界の情報やニュースをチェックしているのでしょうか。アンケートで聞いてみたところ、全16業界から、上位トップ5の業界は下記の通りになりました。

  • 旅行やレジャー (ホテル・航空券の予約) 45%
  • 食料品 44%
  • エンタメ 43%
  • 外食 41%
  • ファッション、衣服、靴 38%

さらに、なぜそのような企業をソーシャルメディアでフォローするのかを質問しました。最も多かった回答は「商品の使い方や、役立つヒントを提供しているから」で40%でした。これは、実用的な情報が消費者に高く評価されていることを示しています。分かりやすい例で言えば、キッチン用品メーカーがレシピの情報を発信することを考えられます。次に挙げられた理由は、「割引情報やプロモーションを掲載しているから」(33%)、「商品に関する限定ニュースや、発売前プレビューを提供しているから」(33%)、「コンテンツがクリエイティブで魅力的だから」(23%)、そして「企業サイトなどがなく、ソーシャルメディアのみでオンライン情報発信をしているから」(22%) となりました。

以上のことから、企業はフォロワーにとって有益で魅力的なコンテンツを提供することに注力すべきであることを示唆しています。優れた「コンテンツプラン」を作成することによって、コンテンツマーケティングの取り組みが一貫性を持ち、ビジネス目標に沿ったものとなり、ソーシャルメディア管理が軌道に乗るようになります。そうすることで、忠実な顧客ベースの構築にもつながるでしょう。

根強いセキュリティへの不安

いかなる取引においてもセキュリティの確保は非常に重要ですが、特に日本のユーザーは安全性に対して敏感であることが知られています。例えば、以前当社が行ったサブスクリプション型サービスに関する国際調査では、日本の利用者が持つクレジットカード登録への抵抗感は他国と比べて格段に高いことが分かりました。

今回の調査でも同様の傾向が確認されました。まずは、どのような個人情報をSNSで公開しても良いと思うかを問いました。「どのような情報でも共有することに抵抗がある」という回答が、72%で大多数を占めました。公開しても最も問題のないデータは「画像ファイル」(個人的な写真、動画など) ですが、それでも19%程度に留まっています。

また、SNSでアップロードされたデータ (個人情報、写真、動画) の取り扱いについて、プライバシー上の懸念があるかどうかを尋ねたところ、「ある程度懸念している」が55%、「非常に懸念している」が30%となり、合わせて8割以上の人が何らかの懸念を抱いている実態が明らかになりました。

SNS上のデータの取り扱いに対する懸念

ソーシャルメディアを利用するときに、セキュリティ担保の責任はユーザーにもあると考えられます。しかし、SNS登録時に利用規約を読んでいるかどうかを聞いたところ、全て読む消費者は9%のみで、部分的に読んでいるのは59%、全く読んでいないのは32%という結果になりました。このような状況を踏まえると、ビジネスアカウントなどを使ってSNSを活用する企業は、ユーザーのセキュリティを強化しプライバシーを保護するために、最大の努力を払う必要があります。また、実施しているセキュリティ対策を分かりやすく伝えるとよいでしょう。多くの場合、ユーザーの不安は適切なコミュニケーションによって解消されるものです。

SNS上でのセキュリティ強化の方法

  1. 個人情報を収集するときには、適切なプライバシーポリシーを公開する
  2. 個人データを保管するデータベースに暗号化アクセス制御などのセキュリティ対策を施す
  3. セキュリティソフトを使用して、万全なマルウェア対策をとる
  4. SNSのプラットフォーム側でスパムフィルターを使用する
  5. スパム的なコメントを検出・削除し、迷惑行為をするユーザーをブロックする。そうすることで、フィッシングや詐欺を回避するだけでなく、ブランドの評判と信頼を守ることにつながる

まとめ

今回明らかになった、SNS利用に関する主な知見は次の通りです。

  • 90%のオンライン消費者がLINEを使う
  • 約半数 (47%) が毎日、SNS上で企業に関する情報をチェックする
  • 最も注目される業界は旅行、食料品、エンタメ
  • 72%の消費者は情報共有に抵抗がある
  • 85%がプライバシー上の懸念がある

次回は、ソーシャルメディアにおける購買経験や購買行動に焦点を当てます。

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本記事は、当社が実施した「ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動調査」の結果をまとめたものです。調査期間は2022年11月11日〜18日、全国のモニター1,036人に対してオンラインで実施しました。以下の条件に合致する方を対象としました。

  • 日本在住者であること
  • 18歳以上、76歳未満であること 
  • 6ヶ月に1回以上、オンラインで積極的に製品やサービスを購入していること
  • 少なくとも週に複数回、ソーシャルメディアを利用していること

年齢構成は下記の通りとなりました。

  • 18歳〜25歳 10%
  • 26歳〜35歳 18%
  • 36歳〜45歳 17%
  • 46歳〜55歳 21%
  • 56歳〜65歳 24%
  • 66歳~75歳  10%

注:本記事で紹介されたSNSプラットフォームは、各機能の例として取り上げられており、勧誘・推奨を意図したものではありません。掲載されている情報は、掲載時に信頼できると判断された情報源から入手されたものです

この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。