この記事では、ネットワークセキュリティソフトとサイバーセキュリティソフトの違いを明確にし、自社のビジネスを保護するためにどのようなセキュリティソリューションを導入すべきかを判断するときに役立つ情報を紹介します。

目次
ITシステムやネットワークのテクノロジは進化し続けています。しかし、これらのシステムは、組織のネットワークへの不正侵入、サービス拒否攻撃 (DoS)、ランサムウェアなどのマルウェアなどの脅威に対して脆弱であり、日本の中小企業もこれらの攻撃による被害を受けています。サイバー攻撃への対策を適切に講じなければ、業務の中断を余儀なくされ、攻撃による影響を修復するために膨大な費用がかかります。また、情報が外部に漏洩すると、企業の信頼や評価の低下を招くことになります。ネットワークセキュリティソフトやサイバーセキュリティソフトに投資すれば、自社のセキュリティレベルを向上して、これらの課題を解決できるようになります。しかし、これらの2つのソフトウェアは混同されていることが多く、本当に必要とするソフトウェアを選定、導入できていない企業も多く存在します。
ネットワークセキュリティソフトおよびサイバーセキュリティソフトは、どちらもセキュリティソフトに分類されています。一部の機能は重複していますが、本質的な機能は全く異なります。ネットワークセキュリティは、サイバーセキュリティの分野の一つであり、ネットワークトラフィックを監視し、リスクが高いアクティビティや通常とは異なるイベントが検出されたときにネットワーク管理者にアラートを出します。一方、サイバーセキュリティソフトは、脆弱性や潜在的な脅威を特定し、ウイルス、ランサムウェア、フィッシングなどのサイバー脅威から業務システム、アプリケーション、ネットワークを保護します。
下の図では、これらの2つのソフトウェアの共通点と相違点について説明します。

ネットワークセキュリティソフトとは?
ネットワークセキュリティソフトは、ネットワークへのユーザーアクセスの認証と制御、悪意のあるトラフィックの特定と検出、攻撃が疑われるアクティビティやアプリケーションの特定とブロックを行います。また、ネットワークセキュリティソフトは、ネットワークアクティビティを監視、スキャニング (調査)、分析することができ、不正な侵入を予測または検出し、早期の段階で攻撃を防止します。
ネットワークセキュリティソフトは、認証、暗号化、システム監視などさまざまなテクノロジを採用しており、マルウェア、スパイウェア、トロイの木馬、ウイルス、フィッシング攻撃からネットワークを保護します。

ネットワークセキュリティソフトの主な機能
ネットワークセキュリティソフトの主な機能は以下の通りです。
- アクティビティの監視:不正侵入やDDoS (分散型サービス拒否) 攻撃などセキュリティ脅威の可能性がある不審なアクティビティを追跡して報告します。
- 脅威対応:攻撃を特定して、その影響を軽減する修復作業を開始します。これによって被害を最小限に抑え、根本原因を特定して解決することで、同じ攻撃を将来的に受けないようにします。
- ファイアウォール:ファイアウォールを使用して、ネットワークで送受信されるトラフィックを監視、制御、保護します。ファイアウォールは、定義したセキュリティポリシーとルールに基づいて、受信したトラフィックをブロックするか許可するかを決定します。
- 侵入検知:ネットワークトラフィックを調査し、デバイス、ネットワーク、システムへの侵入、不正アクセス、他の攻撃 (アドレスのなりすまし、検出回避、組織的な攻撃など) を検出します。
- パッチ管理:適用されていないパッチを特定し、最新のパッチをインストールすることで、ソフトウェアを最新の状態で維持し、ネットワークセキュリティを強化します。
- ポリシー管理:ネットワークセキュリティおよびファイアウォール管理に関連するポリシーを適用および維持します。このポリシーでは、インフラストラクチャのセキュリティを維持するために、企業全体で遵守すべき基準やルールを設定できます。
- レポートと分析:セキュリティインシデント、ネットワークアクティビティ、アクティビティの時間、アクセス試行回数、セキュリティ障害などの詳細を報告します。
- 脆弱性スキャニング:定期的にネットワークスキャニングを行い、コンピュータネットワーク全体に潜在するセキュリティの弱点やパッチの問題についてアラートを受け取ることができます。また、ネットワークセキュリティソフトは、脆弱性を分類し、ダウンタイムを最小化する対策の優先順位も決定します。
- アクセス制御・許可:システムへのアクセス権限の付与と取り消し、システムを参照および利用できるユーザーの制御、パスワードの発行を行います。
- VPN:暗号化された仮想プライベートネットワーク (VPN) を設定し、データや個人情報の保護、リモートからの情報アクセス、グループ間での安全なファイル共有を可能にします。
サイバーセキュリティソフトとは?
サイバーセキュリティソフトは、組織のITネットワーク、コンピュータ、サーバー、モバイルアプリ、ソフトウェアプラットフォームを、ランサムウェア、スパイウェア、マルウェア、フィッシングなどのサイバー攻撃から保護します。不正アクセスの防止など、セキュリティを常に高いレベルで維持するためにさまざまなテクノロジを利用して、データの暗号化、ファイアウォールによる防御、Webサイトのスキャニング、インシデント対応などを行います。
サイバーセキュリティソフトには、Web脆弱性スキャニング、データ暗号化、侵入テスト、ネットワーク防御、ファイアウォール、ウイルス対策、スパイウェア保護、パスワード管理などさまざまなタイプがあります。

サイバーセキュリティソフトの主な機能
サイバーセキュリティソフトの主な機能は以下の通りです。
- アクティビティの監視:システム、デバイス、ネットワークなどのITリソースを利用するエンドユーザーの行動を監視して追跡します。
- エンドポイント保護:リモートデスクトップ、ノートパソコン、外部ネットワークに接続するモバイルデバイスなど、ユーザーのエンドポイントデバイスにセキュリティポリシーを適用し、高度なマルウェアを防止し、侵入を検出して対応することで、企業資産を保護します。
- ウイルス対策:ウイルス対策ソフトをインストールして、システムに有害となるウイルスやマルウェアを検出し、その実行を防止して除去できます。多くのウイルス対策ソフトは、リアルタイムに脅威を検出し、脆弱性を悪用する攻撃を未然に防ぎます。
- データセキュリティ:ビジネスデータを暗号化し、暗号化キーにアクセスできるユーザーだけがデータを復号化して参照できるようにします。暗号化キーを持っていないユーザーには、暗号化されたデータは意味不明なテキストとして表示されます。
- DDoS攻撃からの保護:サーバーやネットワークに膨大なトラフィックを送り付けてWebサイトやオンラインサービスを停止させたり、マルウェアに感染させたりするDDoS (分散型サービス拒否) 攻撃からWebサイト、アプリケーション、ネットワークを保護します。
- ファイアウォール:ファイアウォールを使用して、ネットワークで送受信されるトラフィックを監視、制御、保護します。ファイアウォールは、定義したセキュリティポリシーとルールに基づいて、受信したトラフィックをブロックするか許可するかを決定します。
- ポリシー管理:サイバーセキュリティおよびファイアウォールの管理に関連するポリシーを適用および維持します。このポリシー管理では、IT資産やリソースにアクセスして使用するときのルールを定めることができます。
- レポートと分析:セキュリティイベント、ネットワークアクティビティ、アクティビティの時間、アクセス試行回数、セキュリティ障害などの詳細を報告します。
- 脆弱性スキャニング:システム、ソフトウェア、ネットワークの脆弱性を定期的にスキャンし、ウイルスやマルウェアなどの新しいまたは既存の脆弱性を検出して報告します。
- セキュリティ侵害の痕跡 (IOC) の検証:異常なネットワークトラフィックやDNSリクエスト、ログインの異常、攻撃が疑われるシステムファイルの変更など、セキュリティ侵害の痕跡 (IOC) を特定して調査します。
サイバーセキュリティとネットワークセキュリティの共通点
サイバーセキュリティとネットワークセキュリティは、デジタル資産、データ、ネットワークシステムを保護するという共通の目標があります。サイバーセキュリティは情報セキュリティ分野の一つであり、ネットワークセキュリティはサイバーセキュリティ分野の一つであるように、これらの2つのカテゴリは互いに関連しています。
- サイバーセキュリティ:フィッシングやサイバー詐欺など、あらゆる種類のデジタル攻撃からシステム、ネットワーク、アプリケーションを保護。
- ネットワークセキュリティ:ウイルス、不正アクセス、データ漏洩などのオンライン脅威から、ITインフラを保護。
ネットワークセキュリティソフトおよびサイバーセキュリティソフトに共通する機能には、アクティビティ監視、脅威対応、ファイアウォール、ポリシー管理、レポートと分析などがあります。
最適なソフトウェア選びのヒント
投資するソフトウェアを決定する前に、自社が目指すセキュリティレベルを明確にし、要件を評価してください。
不正アクセスやデジタル攻撃から重要な資産や機密情報を保護するツールが必要な場合は、サイバーセキュリティソフトを使用することをお勧めします。サイバーセキュリティソフトは、ネットワークに接続されているシステムやアプリケーションを、社内外の脅威から保護します。
ハードウェアとソフトウェアを使用して、企業のコンピュータシステム、ネットワーク、およびデータを保護する場合には、ネットワークセキュリティソフトを使用するといいでしょう。ネットワークセキュリティソフトは、データの機密性とアクセシビリティを確保しながら、内部および外部からの攻撃からネットワークとデータを保護することに重点を置いています。多くのデータを管理している場合には、サイバー脅威から組織を保護するためのサイバーセキュリティソフトが必要です。
ネットワークセキュリティソフトは、ネットワークで送受信されるあらゆるデータを保護します。一方、サイバーセキュリティソフトは、企業のデバイスやサーバーに存在されているデータを保護します。
使用すべきソフトウェアのカテゴリを決定したら、キャプテラのネットワークセキュリティソフトとサイバーセキュリティソフトのページで、製品リストと検証済みのユーザーレビューを参照してください。これらの製品リストは機能、価格、評価別に並び替えることができます。
最も人気が高く、最も評価の高いソフトウェアを絞り込んで検索することもできます。キャプテラの製品リストページでは、評価の高いネットワークセキュリティソフトとサイバーセキュリティソフトを参照できます。
セキュリティソフトの評価方法
選択するセキュリティソフトは、業務のニーズと一致していなければなりません。候補となるセキュリティソフトを評価するときに注意すべきポイントを以下に説明します。
- セキュリティニーズを分析する。セキュリティソフトを見つけるときには、ITネットワークセキュリティの現状とリスクプロファイルを分析します。ITネットワークインフラの運用を中断させる可能性がある攻撃対象を調査します。また、インフラへの投資やトレーニング費用なども考慮し、既存のIT環境にスムーズに取り入れることができ、予算に見合ったソフトを選択しましょう。
- 多層防御を取り入れる。多層防御のアプローチでは、潜在的な脅威を効果的に特定して隔離するために、いくつものセキュリティコントロールが導入されます。これには、ファイアウォール、マルウェアスキャナー、ローカルストレージの暗号化ツール、侵入検知システムなどが含まれます。
- ソフトウェアの互換性を確認する。ITインフラ (ネットワークの仕様、ソフトウェアのインストール、ハードウェア機器など) を考慮し、自社に適したネットワークセキュリティおよびサイバーセキュリティソフトの候補を絞り込みます。例えば、ポータブルストレージデバイスを使用してデータを転送している場合、ファイルがマルウェアに感染し、ネットワークに拡散しないように、ストレージメディアを暗号化する機能が必要になるでしょう。
- ソフトウェアの拡張性を評価する。選択したソフトウェアが、追加コストを発生させることなく、効果的にその適用範囲を拡張/縮小できることを確認してください。柔軟に拡張できないソフトウェアを利用していると、企業が成長したときに、ネットワークインフラ全体を大きく変更しなければならなくなります。
最適なソフトウェアを選ぶための重要な質問
ここでは、最終的に購入するソフトウェアを選ぶときに、ソフトウェアベンダーに尋ねるべきいつかの質問を紹介します。
- リアルタイムに脅威を検出する機能があるか?多くのセキュリティソフトは、機械学習によって未知の脅威をリアルタイムに検出して阻止します。このテクノロジは、攻撃が疑われるURL、マルウェアのハッシュ値、フィッシングサイトのドメインなど、ネットワークの異常を分析して調査することで、潜在的な脅威を特定します。インターネット上のアクティビティを分析し、リスクの高いWebサイトを自動的に特定し、そのサイトへの接続を防止します。
- モバイルアプリを提供しているか?購入する予定のソフトウェアが、iOSやAndroidのスマートフォンやタブレット用のモバイルアプリを提供していることを確認しましょう。モバイルアプリで日々のセキュリティレポートや分析にアクセスでき、オフィスにいないときでもユーザーやITインフラを監視できるかどうか、ベンダーに問い合わせてみてください。
- 利用可能なカスタマーサポートのオプションは何か?候補となったベンダーがどのようなサポートを提供しているかも問い合わせましょう。年中無休でサポートを提供しているベンダーもあれば、平日の営業時間のみサポートしているベンダーもあります。また、メール、電話、ライブチャットなど、どのようなサポートチャネルを利用できるかも確認してください。技術的サポートは、ネットワークやシステムに関するあらゆる問題を解決し、機密データの損失を防ぐために重要な役割を果たします。
注:本記事で紹介された製品は、各機能の例として取り上げられており、勧誘・推奨を意図したものではありません。掲載されている情報は、掲載時に信頼できると判断された情報源から入手されたものです。