SaaSのセキュリティは大丈夫なのか

2022/7/21 投稿者: Tessa AnayaおよびAlberto Sakai

SaaS (サービスとしてのソフトウェア) は、インターネット経由で提供されるアプリケーションです。面倒なインストール作業が不要で、長期の契約を締結せずに、すぐに使用できるメリットがあります。ただし、SaaSアプリケーションは柔軟に利用できる一方で、セキュリティやコンプライアンスの懸念も存在します。

SaaSのセキュリティは大丈夫なのか

この記事では、SaaSを概説したうえで、その利点とセキュリティの問題について掘り下げます。また、SaaSプラットフォームでデータを保護するための対策を紹介します。

SaaSとは?

SaaSとは、インターネット上でのソフトウェア提供モデルを指します。インターネットの接続環境とWebブラウザさえあれば、あらゆるデバイスからデータやアプリケーションにアクセスできるサービスのことです。ソフトウェア・プロバイダーは、SaaSアプリケーションを提供するに当たり、サーバとコードのホスティング、メンテナンス、およびサポートを行います。 SaaS型モデルは、オンプレミス型のソフトウェア提供モデルと次の点で異なります。

  • オンプレミス型と違い、SaaSプラットフォームでは大掛かりなハードウェア導入、システム構成、メンテナンスが不要です。大半のIT関連の業務は、プロバイダー側が行います。
  • SaaSは通常、定期的なサブスクリプション・モデルとして価格が設定されており、オンプレミス・ソフトウェアと比較すると、多くの場合、初期費用を抑えることができます。製品やプランにより、請求は月ごと、四半期ごと、または年ごとに行われます。

SaaSのメリットとは?

SaaSのセキュリティを説明する前に、SaaSモデルを利用する最も大きな5つのメリットを簡単に見ていきましょう。SaaSはクラウドベースのサービスであるため、IT管理者は クラウド管理ツールを利用してこれらのサービスを監視したり、クラウドのデータを保護したりできます。

1. コストの削減

SaaSは、インターネット接続と、パソコンやスマートフォンさえあれば利用できます。また、ソフトウェアのインストール、アップデート、トラブルシューティングといった作業を社内スタッフに任せなくて済みます。さらに、SaaSプロバイダーがサーバをホスティングするときのデータ・コストを負担する必要もありません。

2. 既存ソフトウェアとの連携

今日のビジネスでは、さまざまな種類のソフトウェアを利用しないと円滑な業務遂行は難しいでしょう。そのため、ソフトウェアを選ぶときには、既存ツールと連携できるかどうか確認することは重要です。SaaSプロバイダーもこの点の重要性を認識しており、通常は人気ツールとのインテグレーション (連携) 機能を提供しています。それにより、既存ツールと新しく購入したツール間で、データをシームレスに共有できるようになっています。

3. ソフトウェアやデータへの迅速なアクセス

SaaSはクラウド上で展開されるているため、パソコンやモバイルデバイスを使用して、すぐにソフトウェアやデータにアクセスできます。インストールを待機したり、技術的な問題に悩んだりすることもありません。

4. 常に最新状態にアップデート

多くのSaaSプロバイダーはユーザーエクスペリエンス (UX) チームを持っており、ソフトウェアの習得しやすさ、使いやすさを心掛けて開発を続けています。UXチームは、いくつものテストを重ねて、システムを継続的に改善しています。また、クラウドベースであるSaaSは、通常は定期的にアップグレードされるます。そのため、新しいバージョンを購入する必要がなく、常に最新の機能を利用できるのです。

5. 優れた拡張性

SaaSソリューションを利用する最大の利点の1つは、その拡張性です。SaaSツールは、ビジネスの成長に合わせて拡張でき、需要の増加に対応できます。また、変化を続けるニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。

SaaSアプリケーションの安全性

SaaSソリューションは、機密性の高い膨大な顧客データを管理しており、多くのユーザーがアクセスする場合もあるため、プライバシー侵害のリスクが潜んでいます。データプライバシーとデータ保護の コンプライアンスは、SaaSのセキュリティで最も重要な課題です。

多くのSaaSプロバイダーは、提供するアプリケーションやサービスを適切に保護しており、対象国のデータ保護法やコンプライアンス要件に対応しています。なお、SaaSに潜在するセキュリティの問題を特定するために、サードパーティーが提供するセキュリティ保証サービスを利用することもできます。このようなサービスの利用には、次のメリットがあります。

  • SaaSの潜在的または将来的なセキュリティリスクを特定、分類、および修正することができる
  • 第三者認証が必要な場合、商業上・規制上の要件を満たす認証を取得することができる

強力なSaaSセキュリティを実現する3つのベストプラクティス

データ保護に関する責任は、顧客とSaaSプロバイダーの両者にあります。当然ながらプロバイダー側は顧客のデータを安全に保護することに努めますが、いざという時に責任を負わないという方針がある場合は、他のプロバイダーを選ぶべきでしょう。

SaaSプロバイダーがセキュリティ規定を順守していないために、情報漏えいが発生することもあります。コストを削減するために共有環境を使用するのがその一例です。そのような行為は、SaaSプロバイダーと顧客の双方に損害をもたらす恐れがあります。

SaaSユーザーとなる企業や組織は、次の3つのベストプラクティスをぜひ取り入れて、安心できるデータ保護に活用してください。

認証対策 SaaSプロバイダーは多くのセキュリティ対策を実施していますが、社内でもいくつかの対策を講じる必要があります。その中でとりわけ重要なのは、ユーザー認証対策です。数多くある手法の中から、パスワードと生体認証を組み合わせた二要素認証など、いわゆる「多要素認証」の導入をおすすめします。

徹底した「データ完全性」 SaaSプロバイダーは、すべてのクライアントのデータを共有データベースに保管しています。そのため、クライアントが他のクライアントのデータにアクセスできないように、データは適切に分離されていなければなりません。契約を結ぶ前に、データの取り扱いに関する詳細をすべて確認し、納得できるまでは契約しないようにしましょう。

適切な従業員トレーニング 新しいSaaSアプリケーションを導入する際には、その利用方法を従業員に教育する必要があります。サイバー攻撃の可能性とその回避方法をしっかりと理解するために、適切なトレーニング・プログラムは欠かせません。このようなトレーニングによって、社員の警戒心を高め、セキュリティ対策を迅速に実施できるようになります。さらに、破れにくいパスワードの使用を奨励したり、30〜90日ごとにパスワードを変更したりなどの対策を行いましょう。

SaaSのセキュリティ管理はユーザーの責任でもある

SaaSプロバイダーは、プラットフォーム、アプリケーション、ネットワーク、オペレーティングシステム、物理的なITインフラストラクチャなどの保護をはじめ、必要なセキュリティ対策の大部分を担っています。ただし、不適切なデータ管理や、不明ユーザーのアクセスについては責任を負うことができません。また、必要最低限のセキュリティ機能しか提供していないプロバイダーもあれば、幅広いセキュリティ・オプションを提供しているプロバイダーも存在します。自社に合ったSaaSプロバイダーの選択や、セキュリティに関する効果的なベストプラクティスの実施はクライアント側が行うものなので、よく比較検討したうえで決めるようにしましょう。

クラウド管理のソフトウェアをお探しでしたら、キャプテラの クラウド管理ツールのリストをぜひご覧ください。

この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

テッサ・アナヤ。キャプテラのコンテンツアナリスト。中小企業にソフトウェア関連の洞察を提供。Globe and Mail, La Presse, the Financial Post, Yahooにて紹介されている。。

テッサ・アナヤ。キャプテラのコンテンツアナリスト。中小企業にソフトウェア関連の洞察を提供。Globe and Mail, La Presse, the Financial Post, Yahooにて紹介されている。。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。