学習管理システムとは？

学習管理システム (LMS) は、従業員に学習コンテンツを提供し、それを管理、追跡することで、学習効率を向上させるためのシステムです。学習管理システムを利用すれば、時間や場所に縛られずに、オンラインで学習コンテンツの配信や管理、進捗状況の追跡ができます。学習管理システムやその他のeラーニング作成ソフトを使用することによって、企業が研修やオンライン学習を管理したり、教育機関が複数のメディアを用いたブレンド型の学習体験やデジタルのみの学習体験を構築したりできるようになります。また、起業家が自分の専門分野に関するコースを作成して販売することもできます。

一方、学習コンテンツ管理システム (LCMS) とは、コースオーサリングツールを使用して学習コンテンツを作成し、そのプレゼンテーションを管理するものです。学習管理システムのプラットフォームは、研修ソフトウェアやコースオーサリングソフトウェアと関連しています。このガイドでは、日本の企業が自社に適したツールを見つけることができるように、学習管理システムの利点や機能、導入時に考慮すべき点などについて説明します。

学習管理システムの導入メリットとは？

• 研修によるダウンタイムを削減：学習管理システムを使用すると、チームはモバイルアクセスを活用して、都合の良い時間にどこからでも学習できるようになります。そのため、コストのかかる参加型の研修セッションを行う必要がなくなります。

• 従業員の定着率向上：多くの研究から、従業員エンゲージメントが高いと勤続年数が長くなることがわかっています。そして、能力開発の機会を提供すると、従業員エンゲージメントが高まります。新入社員の採用や優秀な社員からの引き継ぎにかかるコストを考えただけでも、拡張性の高い学習管理システムを導入する意味はあります。また、学習管理システムを導入することで、研修コストの削減にもつながります。

• 従業員の生産性の向上：Association for Talent Development (ATD) の研究によると、正式な研修プログラムを定めている企業は、研修への投資が少ない企業よりも従業員1人当たりの売上が高く、利益率も高いとのことです。また、学習管理システムを使って正式な研修プログラムを実施することで、新入社員を効率的にオンボーディングできます。つまり、短期間で企業の戦力として活躍できるようになるのです。

学習管理システムの一般的な機能とは？

学習管理システムの一般的な機能は次のとおりです。

• コース管理：コース教材やプレゼンテーションの作成と管理、受講者の管理を行う。
• コース追跡：受講者の進捗状況や得点、課題やテストなどにかかる時間を追跡する。
• ブレンド型学習：Wikiやメッセージボードなどのオンラインツールや会話型ソリューションを使用して、ブレンド型学習をサポートする。
• モバイル学習：受講者がLMSアプリやモバイル用Webサイトからコース教材にアクセスして、スマートフォンやタブレットで学習する。
• テストと評価：適性や学習内容の理解度を測定するためのシステム内テストなどを作成し、実施する。LMSプラットフォームには、上記の機能を複数備えたものや、ゲーミフィケーションや証明書などの高度な機能を備えているものもある。

学習管理システムの購入時に考慮すべき点は？

自社に適した学習管理システムを選択する際は、コストが欠かせない要素となりますが、他にも次のような要素を考慮する必要があります。

• 関係者の同意：講師や研修担当者、受講者、システム導入を担当するIT部門など、LMSにはさまざまな人や部署が関わります。購入前にそれぞれの立場における問題や要件を把握しておかないと、LMSの導入はうまくいきません。

• カスタマーサービス：LMSプラットフォームの機能性や価格と同じぐらい重要なのが、それを提供するベンダーの対応スピードやサポート力です。デモを試したり全体的な内容を確認したりする際には、カスタマーサービスについても確認するようにしましょう。電話、メール、ライブチャット機能を使用して、顧客になったつもりで連絡してみるのもいいでしょう。返答までにかかる時間や、サポート担当者の対応を見てみましょう。

• スコアカード：十分に情報を得てから購入を決めるためには、複数のベンダーのデモを試してみることが重要です。ただし、複数のツールを使っていくうちに情報が増えすぎて、各ツールの特徴がわからなくなってしまうかもしれません。デモのスコアカードや何らかの評価システムを使用して、各ツールが自分の求める要件をどの程度満たしているかを記録しておきましょう。

学習管理システムに関する注目トレンド

学習管理システムは変化が激しい業界です。eラーニング技術やツールは常に改善され、進歩しています。購入を検討するにあたっては、次のようなトレンドも知っておくべきでしょう。

• マイクロラーニング：短時間かつ小容量の学習コンテンツとして設計されているので、どこにいても自分のスケジュールに合わせて学習が続けられます。

• ゲーミフィケーション：ポイント、バッジ、リーダーボード、RPG風のファンタジー設定など、ゲーム要素をeラーニングコースに取り入れるものです。すでに多くのLMSで採用され、コンテンツがよりインタラクティブになっています。ゲーム形式にすると成績が上がるという研究結果も報告されており、今後はこのような機能が増えていくでしょう。

• バーチャルリアリティ教室：バーチャルリアリティ用のヘッドセットやイマーシブテクノロジーにより、受講者や研修生は、目で見るだけではなく、実演を通して学ぶことも可能になっています。バーチャルリアリティ開発ツールのコストは、今後数年で大幅に下がると予想されています。つまり、かつてないほど簡単に独自のバーチャルリアリティ教室が開設できるようになるということです。