建設会計ソフトは、予算の管理、支出の追跡、変更された注文の対応、プロジェクトのレポート作成などを効率化します。この記事では、建設業界で特に人気のある3つの会計ソフトを、それぞれの機能と共に詳しく紹介します。

建設業で人気の会計ソフト3選

建設業は、日本経済にとって欠かせない重要な産業です。日本建設業連合会のまとめによると、2022年度における建設投資は国内総支出の約12.3%を占めていました。建設会社は、不確定な市場動向や多数の関係者との連携を管理しながら、様々な規模のプロジェクトを遂行する必要があります。しかし、プロジェクト各段階での財務管理に問題があると、無駄な遅延や予算超過が生じるリスクが高まります。これは、顧客の満足度を低下させ、企業の評判と収益に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、建設会計ソフトの導入は、適切な財務報告と業界基準への遵守を促進する上で重要な役割を果たします。

建設会計ソフトとは?

建設会計ソフトは、「建設業向け原価管理ソフト」としても知られており、建設業者 (または請負業者、下請け業者) がプロジェクトの請求書作成、給与計算、作業原価計算、会計報告の管理に利用するものです。建設会計ソフトを活用することで、正確な財務記録の維持、プロジェクトのパフォーマンス監視、そして資源配分に関する意思決定を円滑に行うことができます。また、以下のような利点があります。

  • 資材の使用量や労働時間の詳細な内訳により、プロジェクト報告を効率化
  • 業界における規制や基準の確実な遵守
  • プロジェクト計画の変更に伴う予算の迅速な調整
  • 各建設フェーズやタスクのコストを正確に把握
  • 資材の購入から人件費の支払いまで、すべての経費の詳細な記録
  • リアルタイムの財務予測による戦略的な予算管理と資源計画の実現
  • 他のプロジェクト管理システムとの同期
  • 請求業務の精度向上と、様々な建設サービスに対する正確な請求書の作成

本記事では、日本で特に支持されている建設会計ソフトを3つ紹介します。これらのソフトウェアは、建築、エンジニアリング、建設業界における会計の自動化やコスト計算などの基本的なニーズをカバーしており、オンラインでの評価が高いことから選定されました。選定基準については、本文の後に記載しています。

 

サービス料金と支払の概要が記載されている勘定奉行クラウドの請求書
勘定奉行クラウドで作成され、サービス料金や支払などが記載された詳細な請求書 (出典)

勘定奉行クラウドは、取引の記録や会計情報をデジタル化して自動処理する会計ソフトウェアです。文書をスキャンまたはアップロードするだけで処理できるので、手作業による入力や物理的な郵送が不要になります。受け取った文書はシステムで解析され、すべてのデータがクラウドに保存されるため、どこからでもアクセス可能です。また、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、ペーパーレス化を実現することができます。

勘定奉行クラウドは、元帳の記載項目をデジタル化し、電子税務申告や支払いを支援することで、データ整理やアクセシビリティなど、あらゆるプロセスを一元管理できるように設計されています。建設業、製造業、小売業など様々な業種で使うことができ、複数の通貨や税率にも対応しています。30日間の無料試用期間で機能を試すことが可能です。

勘定奉行クラウドの主な機能 

  • 仕訳起票の自動化・省力化
  • 様々な月次レポートの作成
  • ロック機能でデータ改ざんを防止
  • 50種類以上の会計フォーム
  • Excelや他のシステムからの取引データのインポート
  • キャッシュフローの追跡と財務監視の強化
  • 複数の予算の同時管理による財務管理と計画のサポート

多様なフォームを提供するするマネーフォワードクラウドの会計アプリケーション
取引入力フィールドがあるマネーフォワード クラウドのダッシュボード (出典)

マネーフォワードクラウドは、建設業、製造業、小売業をはじめとする様々な業界の会計と人事業務を合理化するクラウドベースのSaaSプラットフォームです。データ入力を自動化し、銀行取引、クレジットカード、POSレジ、勤怠管理プラットフォームなどとの連携が可能です。

提供されるサービスには、会計、確定申告、請求書作成、経費精算、給与計算、マイナンバー管理などが含まれます。さらに、インボイス制度や税率の変更などの法改正に合わせて、機能が定期的に無料でアップデートされる点も特徴です。

マネーフォワードクラウドは多数の通貨や税率をサポートし、AI-OCR自動仕訳機能で電子帳簿保存法やインボイス制度に対応できます。30日間の無料トライアル期間ではすべての機能を試すことができます。

マネーフォワード クラウドの主な機能 

  • データ入力の自動化
  • AIがビッグデータを基に勘定科目を提案し、自動入力・自動仕訳を合理化
  • データを自動的にクラウドに保存し、安全性を確保
  • ダッシュボードを通じてリアルタイムのデータ集計と可視化
  • 多数の通貨と税率に対応
  • 請求書作成時に自動的に販売レポートを作成し、分析や戦略計画を支援

弥生会計オンラインのダッシュボードには、会計および財務を管理する様々なツールが表示されます。
弥生会計オンラインのダッシュボードと多様な会計機能 (出典)

弥生会計オンラインは、法人向けに設計されたクラウドベースの会計プラットフォームですが、会計管理を簡素化し、簿記の知識や経験がない初心者でも簡単に扱うことができるように設計されています。記帳業務の転記や集計作業を自動化し、請求書や見積書の作成ツールを提供しています。ユーザーはスマートフォンを用いて銀行取引の明細や請求書、領収書などのデータをスキャンまたは撮影するだけで、システムに自動的に入力し、追跡や報告を行うことができます。

期末報告のための財務予算の作成を効率化し、会計業務や報告に必要な各種帳票の作成に利用できます。さらに、金融機関と連携させて一貫性のあるエコシステムを実現し、請求書発行や電子帳簿保存法への対応も可能にします。

弥生会計オンラインの主な機能 

  • 記帳業務の転記や集計作業の自動化
  • 専用のスマホアプリで外出先からの業務管理
  • 取引データのインポートとエクスポートによる包括的な会計帳簿の作成
  • 自動請求書作成による請求効率の向上
  • 見積書、納品書、請求書の発行
  • 仕訳記入の記録とリンクの確認
  • リアルタイムでの業務状況の可視化
  • 法的要件に準拠した請求書処理

自社に最適な建設会計ソフトの選び方

自社にとって適切な建設会計ソフトを選ぶためには、まず自社独自のニーズに応えるサービスや機能を提供しているかを確認する必要があります。そのために、以下の要素を特に重視しましょう。

  • 建設業務の原価計算や進捗請求など、業界特有の会計業務に対応できるかどうかを確認
  • 既存の管理ツールやシステムとの連携機能の有無
  • リアルタイムでの財務追跡や、詳細なレポート作成が可能な製品を優先
  • 使いやすさ、充実したカスタマーサポート、トレーニングリソースの有無などを調べる
  • 業界特有の規制や税務要件への遵守

優れた建設会計ソフトは、財務管理をスムーズに行いながら、プロジェクトのコストや収益の分析に役立つ情報を明確にします。ビジネスの現状に適合し、成長に応じて柔軟に対応できる製品を導入することが大切です。

建設会のSaaSやソフトウェアをお探しでしたら、キャプテラの建設会計ソフトのリストをぜひご覧ください。


本記事で取り上げた製品の選定方法

製品の選定にあたっては、以下の基準を設けました。

  • Web検索での上位表示 「建設会計ソフト」というキーワードでシークレットモード検索を行った際、検索結果の最初のページに表示されるベンダーサイトの製品であること、または、第三者サイトで2回以上取り上げられている製品であること (2023年11月22日に検索実施)
  • 市場定義 キャプテラによる「建設会計ソフト」の定義に該当するSaaS・ソフトウェアであること、すなわち、「建設、建築、エンジニアリング分野での経理業務、作業原価の計算、融資サービスなどを自動化する機能を持つ会計管理ツール」であること
  • 中核機能  建設会計ソフトのカテゴリにおける主要な機能、例えば買掛金、売掛金、その他建築、土木エンジニアリング、建設 (AEC) 業界向けの機能を備えているツールであること
  • 人気度 上記の条件を満たす製品の中から、月間のオーガニックトラフィック、平均検索数、ドメイン評価 (DR) を基に人気度を算出し、検索数とDRが最も高い3つの製品を選定しました