従業員の給与決定や適切な人材配置など、人事戦略を効果的に行うためには人事評価が大きく役立ちます。そんな人事評価を容易に行えるよう、キャプテラではExcelで使いやすい無料のテンプレートを提供しています。
会社によってさまざまなニーズがあるように、人事評価の方法も会社によって大きく異なります。ただし、多くの会社に共通する標準的な評価項目もあります。キャプテラでは、このたび人事評価に活用できるExcelの無料テンプレートを公開しましたのでぜひご活用ください。
人事評価とは?
人事評価とは、上司が社員の業績を正式に評価するものです。人事評価の目的は、会社が各従業員の強みと改善が必要な領域を特定し、フィードバックを共有して、将来の業績に関する目標を設定することです。
人事評価を適切に行うことで、従業員は自分の強みや改善すべき点、自分の仕事と会社の目標との関係、さらには自分に何が期待されているかを理解できるようになります。また、マネージャーや上司は従業員の業績を正確に把握し、期待することを明確に伝えることができます。これにより、従業員の成長と発展を促し、部下との関係を深めることが可能になります。
つまり人事評価は、会社と従業員との関係を強化し、フィードバックを通じて継続的にスキルを伸ばす文化を根付かせる役割を担っていると言えるでしょう。
人事評価の周期
- 毎週または2週間ごとの人事評価 短い周期での評価は、アジャイルプロジェクトなどに特に適しています。
- 月次の人事評価 短期契約者やフリーランスを多く雇用している企業や、新入社員研修において月次の人事評価は有効です。また、プロジェクトの立ち上げ段階では、毎月の評価を行うことが有意義です。
- 四半期ごとの人事評価 会計年度の各四半期に特定のゴール、目標、予算が設定される場合、四半期ごとの人事評価が多くの企業にとって適切な方法となるでしょう。
- 一年ごと人事評価 一年ごとの人事評価を行う企業も依然として存在しますが、このフィードバックの周期は長すぎると感じられることもあるでしょう。このため、360度評価システムを導入する企業が増えており、また人事評価を補完する手段としても利用されています。
キャプテラの人事評価のExcelテンプレートの使い方
キャプテラの人事評価テンプレートでは次のことができます。
- 全従業員を会社または特定の職務に必要な能力に基づいて評価する
- この評価を分析し、従業員ごとの長期的な目標と実績を比較する
- どのような能力が不足しているのかを明らかにして、グラフで表示する
人事評価テンプレートを利用するために必要な準備
Excelの人事評価テンプレートを利用するときには、社内のすべての職務に関するプロファイルを最初に作成し、職務プロファイルの構造に従って従業員を個別に評価します。
最初のステップでは、以下の基本データを入力します(「1 基本データ」タブ)。
1. 会社の職務
2. 会社の部門
続いて、各職務の一連の要件を設定します。全体を正しく理解して評価するために、要件は次のように分類されます。
- 専門能力
- プロジェクト遂行能力
- 個人的能力
- 社会的能力
これらのカテゴリはさらに詳細に記述することができます。例えば、個人の能力について具体的な説明を記述できます。これらのカテゴリは、「1 基本データ」タブで指定します。
最初のタブでカテゴリを設定したら、「2 基本要件」タブで能力ごとに求められる要件を設定します。能力を細分化して評価できるように、1つの能力に対して2つ以上の要件を設定することがおすすめです。要件は会社によって異なるので、自社の特定の職務に割り当てることが望ましいです。
全体の流れを、例を見ながら説明します。例えばソフトウェア開発に必要な能力を、以下の4つのカテゴリに分類することにしましょう。
能力ごとに、要件を設定することができます。テンプレートの例では、専門能力「プログラミング言語」の要件を以下の通り記述してあります。
- 関連するプログラミング言語において専門知識を持つ
- プログラミング言語の最新動向を把握している
また、プロジェクト遂行能力「品質志向」では以下の要件を定義することができます。
- 効率的なコードを心掛ける
- ソフトウェア開発におけるセキュリティ、信頼性、データ保護に対して高い意識を持つ
要件を割り当てる場合、該当する職務にの列に「x」と入力します。
人事評価を実際に行うための最後の手順として、社員情報を設定します。「3 人事データ」タブの各行に、評価対象となる従業員が設定されます。ここでは、過去に実施した評価の回数や最後に評価した日付を確認することもできます。
評価
評価そのものは従業員個人に対して行われます。準備が完了していますので、この従業員の人事データはすでに記録されており、「評価」タブで選択できるようになっています。
評価対象の従業員を選ぶには、リストからその従業員の名前を選択し、評価実施の日付を入力します。
すでに評価がある場合は、ここで削除する必要があります。名前ボックス (左) から「評価エリア選択」を選択肢、削除ボタンを押すと全ての評価が一斉に削除されます。
この状態でF列のフィルター「有り」を更新すると、評価を開始できます。指定の職務に関連する要件だけが表示されます。
以下の基準に従って評価されます。
- 0% 要件をほとんど満たしていない
- 50% 要件を多少満たしている
- 100% 要件を満たしている
- 150% 要件を上回る
- 200% 要件をはるかに上回る
このタブには、評価のグラフも表示されます。
評価が完了したら、「すべての評価DB (データベース)」タブに転送され、比較に利用できます。
単に転送する場合は、名前フィールドを使用するとコピーする行が再選択されますので、Ctrl+Cを押してコピーし、「すべての評価DB」タブの次の空白セルに貼り付けます。文字だけを貼り付け、数式はコピーしないでください(マウスの右ボタンで「値の貼り付け」を選択してください)。
過去の評価の比較
「比較ダッシュボード」タブでは、最大4つの過去のエントリをレーダーチャートで表示して比較できます。
能力は職務によって異なりますので、同じ職務でなければ評価を比較できません。
表示するレビューを選択するには、「すべての評価DB」タブからレビューIDを選択します。
これらのグラフでは、例えば、従業員の評価の移り変わりや、ある部門の複数従業員の評価を比較して表示できます。
Excel人事評価テンプレートの利点と欠点
Excelテンプレートの主なメリットは、その使いやすさ、実用性、そして無料であることです。直感的で、日常業務に簡単に取り入れることができ、特別な予備知識も必要ありません。また、表が明確に色分けされるため (配色は会社のブランディングルールに合わせることができます)、現在の進捗をすぐに把握できます。ただし、当然このような評価シートのユーザビリティには制限がありますので、大企業向けではありません。
データ保護に関しても特に注意が必要です。Excelファイルは最低限パスワードで保護し、不正アクセスやデータのコピー、転送、削除を防ぎ、データ入力の追跡が可能であるようにする必要があります。
一方で、Excelファイルを人事評価に使用する際には、いくつかのデメリットもあるので留意する必要があります。
- データ入力ミスに対して脆弱である
- セキュリティコントロールの機能がない
- 評価する側と評価される側の両方が容易にデータを操作できてしまう可能性がある
ある程度以上の規模の企業では、有料の人事評価システムの導入を検討することをおすすめします。人事評価システムを利用すれば、従業員の業績評価、新たな目標の設定、個々の能力開発計画の策定プロセスを自動化できます。