生産スケジュールの目標は、需要とリソースのバランスを適切にとりながら、費用対効果の高い方法で生産工程を計画することである。ここでは、それを実現するために役立つクラウド型の生産スケジューラを紹介する。

クラウド型の生産スケジューラ

今日の製造活動はますます複雑化しており、現場では工程を計画するための正確なスケジューリングが必要不可欠となっています。キャプテラではすでに製造業向け技術スタックの構築方法を解説し、日本製のクラウド型生産管理システムを紹介しましたが、本記事では中小企業でも利用できる生産スケジューラ (生産スケジュールシステム) を取り上げます。

今回も国産であり、クラウド版を提供している製品をピックアップしましたが、選定方法の詳細については文末をご覧ください。なお、ツールは製品名のアルファベット順で掲載しています。

クラウド型の生産スケジューラ3選を比較!

1.

クラウド型の生産スケジューラ - Asprova
受注・製造・購買における長・中・短期計画をひとつのモジュールで処理するAsprova APS ( )

Asprovaは生産スケジュールに特化した製品シリーズです。中でも「Asprova APS」は、受注から資材購買まで、生産計画に連動するあらゆる要素を自動で計画できる機能を持ち、クラウド版も提供しています。主な機能としては、生産計画の自動立案、設備の生産能力を加味したスケジューリング、受注情報に基づいた計画の立案などが挙げられます。

手間のかかる計画立案の自動化により、特定の社員のノウハウやスキルに頼った業務の属人化を防止することができ、前後の工程との過不足をなくした計画を出力することが可能になります。また、ガントチャートや負荷グラフで製造現場を可視化することもできます。

パッケージ購入または月額使用料の他に、導入にも費用がかかります。お見積りについては、Asprovaの特約店にお問い合わせください。

主な機能

  • ガントチャート
  • 自動スケジューリング
  • 情報共有
  • 自動計画立案機能 (オプション)

2.

クラウド型の生産スケジューラ - IS-MMSCHEDULER
見た目はスプレッドシートでスケジュールを編集できるIS-MMSCHEDULER ( )

IS-MMSCHEDULERは、受注から出荷までの一連の生産工程をカバーする、加工業に特化した生産スケジューラーです。インタフェースはスプレッドシートのような形式で、表計算ソフトの操作性を実現していることが特徴的です

取り込んだデータを基にスケジュールが作成され、山崩しや前倒し、重複エラーなどのチェックができます。材料入荷日や工程納期を表示する機能も搭載しています。web機能としては、現場からリアルタイムに作業実績の登録が可能で、作業票のQRコード読み込みもできます。

見積もりについては直接ベンダーへお問い合わせください。

主な機能

  • スケジュール作成
  • 材料発注リスト
  • 予定表示
  • 作業指示データ取込
  • 作業実績表示

3.

クラウド型の生産スケジューラ - MAGELLAN BLOCKS
MAGELLAN BLOCKSは機能ブロックを繋げて利用できます ( )

グルーヴノーツ社のMAGELLAN BLOCKSは、量子コンピュータとAI (人工知能) を活用できるクラウドプラットフォームです。提供されているサービスの中には、生産計画・生産スケジュールの最適化を実現するためのソリューションがあります。AIは発注量の予測や、設備の異常検知などを行い、量子コンピュータ技術で日程計画、商品配置、積載計画などが最適化されます。

「量子コンピューティング」と言ってもMAGELLAN BLOCKSのサービスは業務上の情報を入力するだけで利用することができるので、専用モデルの新規開発は不要とのことです。この技術は「組合せ最適化問題」に特化しており、段取り替え回数の最小化や、ピッキング作業の効率化などを行いながら、生産スケジューリング計画の作成を自動化できます。料金体系については直接ベンダーにお問い合わせください。

主な機能

  • AI (人口知能)
  • 発注予測
  • 自動スケジューリング
  • 日程計画

生産スケジュールシステムをお探しですか?キャプテラの生産スケジューラのリストをぜひご覧ください。


本記事で取り上げた製品の選定方法

製品の選定は、以下の基準で行いました。

  • 市場定義 キャプテラによる「生産スケジューラ」の定義に該当するツールであること。すなわち、「生産リソースと生産能力の追跡やリソースの効果的な割り当て、および効率的な運用」を可能とするシステムであること
  • 中核機能   自動スケジューリング、キャパシティプランニング、原料要件計画など、このソフトウェアカテゴリーの中核となる機能を備えているツールであること
  • 国内製品 製品ベンダーが日本法人であること
  • 動作環境 クラウド型であること、またはクラウド版を利用できる製品であること

注意:掲載内容は2023年2月時点での情報です。最新の情報は各ベンダーへご確認ください。