ウォーターフォール型プロジェクトとは?その特徴とアジャイル型との違い

2022/12/22 執筆者: Alberto Sakai

ウォーターフォール型プロジェクトは、プロジェクトを順番に完了することを目的としたプロジェクト管理方法で、従来から広く認知されている。最近はアジャイル型プロジェクトが主流となりつつあるが、どちらの手法がより有効かを決定するには、プロジェクトの特性や目標を明確にし、それに応じて適切な手法を選択することが重要である。その手助けになるように、ここではウォーターフォールの手法について解説する。

ウォーターフォール型プロジェクトとは

効率的なプロジェクト管理を行うためには、プロジェクトの目的や特徴、リソースやスケジュールなどを考慮して、最適な手法を選択することが重要です。近年はソフトウェアやシステムの開発に限らず、様々なプロジェクトの計画や管理において「アジャイル型」プロジェクト管理が注目されており、それを採用する企業が増えています。しかし、従来型のウォーターフォール開発が向いているケースもあります。

本記事ではウォーターフォール開発の特徴、メリットとデメリット、それに適したプロジェクトの種類、そしてアジャイル型開発との違いを説明します。自社のプロジェクトの計画や、管理手法の選択にぜひお役立てください。

ウォーターフォール型開発とは?特徴と工程

ウォーターフォール型は、ソフトウェアやシステム開発の分野でよく耳にする言葉ではないでしょうか。「WATERFALL=滝」という言葉が示す通り、ウォーターフォール型開発では、上から下へ水が流れ落ちるように、各工程を順番に進めていきます。

この開発手法には長い歴史があり、広く取り入れられています。ガートナーが2019年に発表した、日本国内のアプリケーション開発に関する調査結果によると、アジャイル型をはじめとする他の手法の採用が拡大傾向にあるものの、なお43%の企業がウォーターフォール型を採用しています。

ウォーターフォール型のプロジェクトの特徴

ソフトウェアやシステムの開発方法論として語られることが多いウォーターフォール型ですが、幅広い分野に対して適用可能です。

ウォーターフォール型プロジェクトの計画や管理には、主に次のような特徴があります。

  • 目標とロードマップが明確に示されている。
  • 決められた順序に従って進む。後戻りはしない。
  • 各段階の詳細が明確に定められている。途中で変更はないことが前提で、変更があったとしても想定内のものに限られる。
  • クライアントからのヒアリングは初期の段階において行われ、最終確認まで、クライアントが作業内容には介入することはほぼない

ウォーターフォールの6つのステップ

ウォーターフォール型プロジェクトには、主に6つの工程があります。ソフトウェア開発を例に、各段階の内容を見ていきましょう。

  1. プロジェクトの要件定義 プロジェクトを実施するために、どのような機能や性能を備える必要があるかを明確に定義し、リソースやスケジュールを設定する
  2. プロジェクトの設計 定義した要件をもとに、プロジェクトを実施するための設計を行い、プロジェクトで使用する技術やツールを決定する
  3. 製造 (コーディング) 設計をもとに、プログラムを作成する
  4. テスト 作成したプログラムをテストし、問題がないことを確認する
  5. リリース テストを完了したプログラムを配布・公開する
  6. メンテナンス リリースされたプログラムを保守し、ユーザーからのフィードバックをもとに、バグの修正や機能の追加を行う
ウォーターフォール開発の工程

ウォーターフォール型のメリットとデメリット

メリット

規範的で厳格性を重んじるウォーターフォール型には、主に次のようなメリットがあります。

  • 最終的な成果物の品質を担保することができる。
  • 変更は基本的に行われないため、予算やスケジュールの管理が比較的容易である。
  • 作業内容が明確に定められているため、経験が浅いメンバー、途中から参加したメンバーでも抵抗が少ない。
  • 途中でクライアントの意見に左右されることがない。

デメリット

デメリットとしては主に次のようなものがあります。いずれも柔軟性、適応力を欠いていることに起因します。

  • 想定外の問題が発生した場合には対応が困難である。
  • 途中で見直しを行うと、調整作業や手戻り作業が大がかりになるため、コストの増加、プロジェクト全体の遅延につながる。
  • 最新の知見や技術を取り入れにくい。実験的な試みは避けなければならない。
  • 同時進行が想定されていないため、期間は長期にわたり、場合によっては、全体の効率性が低下する。

ウォーターフォール型が適しているプロジェクト

以上のようなメリットとデメリットを鑑みると、ウォーターフォール型が適しているのは、高い正確性や安全性が求められ、期待されている成果を一度で確実に達成しなければならないプロジェクトや、不確定要素が少なく、仕様の変更がないことが前提になっているプロジェクトです。例としては、長期にわたる大規模事業、公共事業、建設工事の他、システム開発分野の中では基幹システムの開発などが挙げられます。

その反面、決して小規模ではない変更が当初から予想されるプロジェクトや、進行中もクライアントやステークホルダーからのフィードバックを反映することが求められるプロジェクトなどには、ウォーターフォール型は不向きと言えます。

アジャイル型との違いは?

一方のアジャイル型開発では、「AGILE=機敏な」という言葉の通り、短期間で優れた効果を上げることが強調されます。2001年以降、17名の著名な技術者による「アジャイルソフトウェア開発宣言」をきっかけに「アジャイル」という言葉がにわかに脚光を浴び、今日ではビジネス全般に定着しています。スピードやフットワークの良さを重視するプロジェクトの計画や管理を示すのに用いられています。

アジャイル型のプロジェクトでは、短期間で小さなタスクを完了させることを反復的に繰り返し、クライアントやステークホルダーと緊密に連携してフィードバックを柔軟に取り入れ、自律的に行動するチームメンバーが相互にコミュニケーションをとって、最終的な成果につなげることが特徴であり、メリットです。

したがって、アジャイル型は、未知な部分が多い複雑なプロジェクトに向いています。アジャイル型がよく用いられるプロジェクトの例としては、ソフトウェア開発、ITインフラストラクチャの構築、Webサイトの設計や開発、マーケティングキャンペーン、研究開発、社内改善活動などが挙げられます。

デメリットとしては、修正や変更を繰り返すうちに方向性が曖昧になりかねないことが挙げられます。管理もそれだけ複雑です。また、デメリットではありませんが、個々のメンバーの自主性が重要になるため、組織づくりの点でも、ウォーターフォール型とは異なるアプローチが必要になります。

このように見てみると、ウォーターフォール型とアジャイル型のメリットとデメリットは互いに裏返しの関係になっている部分も多いと言えるでしょう。

ハイブリッド型の登場

ウォーターフォール型とアジャイル型は、それぞれメリットとデメリットがあるため、今日では両方の良いところを掛け合わせた「ハイブリッド型」も登場しています。

例えば、システム開発においては、要件定義や基本設計といった上流工程、および総合テストなどの下流工程ではウォーターフォール型を取り入れ、詳細設計や製造、単体テストといった中流工程ではアジャイル型を取り入れる、といったことが行われています。その他、オンライン店舗と実店舗の両方を同時オープンさせるプロジェクト、ソフトウェアとハードウェアの両方が関わるプロジェクトなどでも、ハイブリッド型は有効です。

プロジェクト管理をサポートするソフトウェア

どの手法を選ぶにしても、ビジネスの環境が不確実で変化も大きい時代において、その荒波を乗り越えるには、高度なプロジェクト管理ツールの導入が必須であると言えるでしょう。このようなソフトウェアを利用することにより、複雑なプロジェクトであっても工程などを視覚化し、直感的に管理することができます。なお、各ツールが持つ機能を吟味してニーズに合ったツールを選ぶことも大事です。例えば、リモートワークを行うメンバーをまとめるには、在宅勤務に適したプロジェクト管理ツールを使うと良いでしょう。

また、ウォーターフォールの手法を採用するプロジェクトマネージャーの間では、ガントチャートツールも広く用いられています。ガントチャートを使うことで、ウォーターフォールの工程が進むにつれて、各段階のサブタスクや依存関係を一目で確認することができます。

よりカスタマイズされたソリューションが必要な場合は、自社の業界や規模、また対象となる業務プロセスを考慮した上で、プロジェクト管理スタックを構築することをおすすめします。

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この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。