自社にとって最適なプロジェクト管理の技術スタックを構築するには

2022/11/21 投稿者: Ines BahrおよびAlberto Sakai

効率的なプロジェクト管理チームを実現するための第一歩は、適切なプロジェクト管理ツールを選択することです。ここでは、プロジェクト管理の技術スタックの構築方法を紹介します。

最適なプロジェクト管理の技術スタック

各プロジェクトはそれぞれ異なる性質を持ち、チームによって仕事のプロセス、進め方、コミュニケーションのスタイルも異なります。

アジャイル方式のプロジェクト管理を採用しているチームは、コミュニケーションを重視しており、頻繁にフィードバックや修正を行いながら仕事を進めます。ウォーターフォール方式を採用しているチームは、コミュニケーションは少なくなるかもしれませんが、綿密に計画を立て、スタート時点から進捗を予め明確にすることに重点を置きます。

同じプロジェクト管理手法を採用していても、カンバン方式やスクラム方式など、その管理方法に多様性があります。

そのため、全てのチームにとって最適解となるプロジェクト管理ツールは存在しません。チームの多様なプロセス・作業方法に対応するために、自社のニーズに合ったプロジェクト管理の技術スタックを構築することをおすすめします。

プロジェクト管理スタックとは?

プロジェクト管理の技術スタックまたはテックスタック (tech stack) とは、効果的にプロジェクトを管理する目的で、いくつかのプロジェクト管理関連のツールを組み合わせて構築したチーム独自の仕組みです。これらのツールを統合して、スムーズにデータを交換することができます。これにより、チームは反復的なデータ収集作業に時間を浪費することなく、プロジェクトで求められる戦略的な取り組みに注力できます。

優れたプロジェクト管理ツールは、計画の不備、コミュニケーションの遅れ、不適切なリスク管理による失敗など、多くの問題を防ぐことができます。スタックを構築する前に、自社の現在の規模 (従業員数と売上) やプロジェクトの複雑さを考慮した上で、市場で利用可能なプロジェクト管理ツールの戦略的な価値を把握しておくことが大切です。この記事では、ソフトを選定するときの参考となるように、検討すべき重要事項を紹介します。

プロジェクト管理スタック構築の第一歩:プロジェクト管理プロセスの評価

プロジェクト管理スタックの詳細な計画を始める前に、プロジェクト管理に関するチームのニーズを把握する必要があります。そのために、ぜひ次のような取り組みを行ってみましょう。

まずば、プロジェクト管理チームとのミーティングの場を設けて、現行のプロジェクト管理のプロセスやツールについて議論します。ホワイトボード (リモートチームの場合はオンラインホワイトボード)、付箋、フローチャートなどを活用して、プロジェクト管理の各ステップを書き出して、プロセスのフローを可視化します。

MyDrawでプロジェクト計画を可視化
MyDrawのようなオンラインホワイトボードを利用すれば、プロジェクト計画を可視化できる (出典)

次に、課題が発生しているステップやワークフローを明らかにしていきましょう。この作業によって、手動のプロセスや非効率的なコミュニケーションフローなど、チームの効率化を妨げているボトルネック (障害) を特定できます。

プロジェクト管理ツールを選ぶ際には、これらのボトルネックを解決することに重点を置きましょう。

堅牢なプロジェクト管理スタックを構築するための3つの基盤

広義のプロジェクト管理ツールには、要件管理ツールリモートワーク支援ツールなど、さまざまなソリューションがあります。「計画・監視・協力」の3つの重要な領域に焦点を当て、現状と課題を分析しながら適切なツールを選択しましょう。

プロジェクト管理スタックを構築するための3つの基盤
プロジェクト管理スタックの構築の要点

1.計画

この最初の段階では、プロジェクトを実施するために必要な時間、予算、人員などのリソースの算出及び評価を行います。そのためには、重要なタスクに優先順位をつけ、適切な人材を割り当てることができるプロジェクト計画ツールが必要です。

ここでは、プロジェクト計画ソフトリソース管理ソフトの2つのソリューションが必要になります。

プロジェクト計画ソフトとは?

プロジェクト計画ソフトを使用すると、プロジェクトチームは重要なプロジェクトパスを図式化できます。プロジェクトは一連のタスクに分割され、各タスクを完了するために必要な時間が算出されます。

このソフトウェアには、ガントチャート、カレンダー、リソース計画、コミュニケーションなどの機能が含まれていることが多くあります。さらに、タスク管理、予算管理、経費追跡などの機能が含まれる場合もあります。

プロジェクト計画ソフトの機能とは?

  • プロジェクトのタイムラインをカレンダーで視覚化する
  • タスクの優先順位と、依存関係のあるタスクを特定する
  • リスクとボトルネックを特定する
  • プロジェクトのスケジュールについてチームメンバーと連絡を取り合う

プロジェクト計画ソフトが必要になるのはいつか?

プロジェクト計画ソフトは、プロジェクトを時間通りに予算内で完了できるように、タスクの優先順位を管理する必要がある場合に役立ちます。

Mammoth Projectでプロジェクトのガントチャート表示
Mammoth Projectでプロジェクトのガントチャート表示 (出典)

リソース管理ソフトとは?

リソース管理ソフトとは、従業員のスキルや稼働状況を効果的に管理するためのツールで、プロジェクトに加わる人員 (リソース) の配置を計画して最適化することができます。主要機能の中には、人員の配置計画、技能や資格の比較、必要となる人員の予測、タイムシート管理などがあります。

リソース管理ソフトの機能とは?

  • プロジェクトの人員配置を計画する
  • 必要なスキルを有する現在の人員と、今後必要となる人員を把握する
  • 従業員がタスクを完了するまでの時間を追跡する

リソース管理ソフトが必要になるのはいつか?

リソース管理ソフトは、チームメンバーが同時に複数のプロジェクトに取り組んでおり、仕事に追われている場合に役立ちます。リソース管理ソフトを利用することにより、プロジェクトマネージャーは作業割り当てのバッティングや障害を特定することができます。

Resource Guruで仕事の割り当て一覧
Resource Guruで仕事の割り当てを一覧表示 (出典)

2.監視

プロジェクトの計画を成功させるためには、プロジェクトの実施状況や目標達成状況を継続的に確認しなければなりません。このようなモニタリング作業のための主なソフトウェアとして、プロジェクト追跡ツール時間と経費の追跡ソフトがあります。

プロジェクト追跡ツールとは?

プロジェクト追跡ツールは、スケジュールや予算など、プロジェクトのさまざまな側面を追跡することができます。この種のソフトウェアは、データを可視化し、プロジェクトのKPIを測定する高度なレポート機能を搭載しています。

プロジェクト追跡ツールの機能とは?

プロジェクト追跡ツールの主な機能は下記の通りです。

  • プロジェクトのスケジュールとマイルストーンの状況を把握する
  • リソースの利用状況を可視化する
  • 過去のプロジェクトの実績から得た知見に基づいて意思決定する

プロジェクト追跡ソフトが必要になるのはいつか?

プロジェクトの進行に伴って、当初の目的を超えてプロジェクトが肥大化していく「スコープクリープ」を経験している場合は、プロジェクト追跡ツールの導入を検討してみてください。プロジェクトの主要な指標を継続的に監視し、過去の実績を分析して、今後のプロジェクト計画の最適化に役立ちます。

Time Kreiでプロジェクトの進捗追跡
Time Kreiでプロジェクトの進捗追跡 (出典)

時間と経費の追跡ソフトとは?

時間と経費の追跡ソフトは、タスクやプロジェクトに費やした時間とプロジェクト関連の費用を追跡するために使用されます。時間追跡、経費追跡、プロジェクト会計などの機能を備え、顧客への請求書発行や不要なプロジェクトコストを特定することもできます。

時間と経費の追跡ソフトの機能とは?

  • 従業員の労働時間を継続的にモニタリングする
  • プロジェクトに係る諸経費や旅費を追跡する
  • レポートを利用して従業員の稼働率を分析する

時間と経費の管理ソフトが必要になるのはいつか?

作業時間をベースに請求する顧客プロジェクトに関わる場合に役立ちます。

Hubstaffで時間と経費を追跡
Hubstaffで時間と経費を追跡 (出典)

3.協力

プロジェクトの成功の鍵は、チームメンバー同士がいかに効果的に連携できるかにかかっています。そのために、専用のコラボレーションソフトを利用することがとても効果的です。プロジェクト管理スタックにグループウェアを追加することを検討している場合には、不要な機能に費用をかけないように注意してください。コミュニティソフトからソーシャルネットワークソフトウェアまで、多種多様なソリューションから選ぶことができます。

続いて、プロジェクトコラボレーションでは王道と言えるチームコミュニケーションソフト文書管理システムを紹介します。

チームコミュニケーションソフトとは?

チームコミュニケーションソフトは、コミュニケーションの遅れによって期限内にプロジェクトを完了できなくなる事態を回避するのに役立ちます。これらのソフトウェアの共通の機能には、プライベートチャットやグループチャット、音声・ビデオ通話、画面共有、ファイル転送などがあります。

チームコミュニケーションソフトの機能とは?

  • 個人やグループに、メッセージとファイルを送信する
  • 画面やプレゼンテーションを共有する
  • パソコンやモバイル端末で音声通話・ビデオ通話を行う

チームコミュニケーションソフトが必要になるのはいつか?

在宅勤務などでチームが別々の場所で働いている場合や、疑問点を解消したり、アイデアを出し合ったり、新しい情報を共有したりするために常にコミュニケーションを必要とするプロジェクトに関わっている場合には、チームコミュニケーションソフトの利用を検討しましょう。

Remottyでグループチャット
Remottyでグループチャット (出典)

文書管理システムとは?

文書管理システムを使用すると、プロジェクトに関連するファイルや記録を、検索可能なリポジトリとして管理することができます。インデックス作成、権限管理、文書公開などの機能を使用して、さまざまなバージョンの文書を作成および編集し、デジタルライブラリに保存できます。

文書管理システムの機能とは?

  • 文書のデジタルリポジトリを作成する
  • 機密情報を安全なポータルに保管する
  • プロジェクト情報へのユーザーアクセスを制御する

文書管理システムが必要になるのはいつか?

機密情報を多く扱う必要がある場合に役立ちます。文書管理ソフトを使用すると、一元化された安全なオンラインライブラリを作成できます。

Fleekdriveのファイル管理ダッシュボード
Fleekdriveのファイル管理ダッシュボード (出典)

テックスタック構築の最終ステップ:ツールの連携

スタックに取り入れたツールが協働することによって、プロジェクト情報にすばやくアクセスし、効率的に作業を進めることが可能になります。

例えば、プロジェクト追跡ソフトでタスクのタイムラインを変更した場合、チームコミュニケーションソフトが自動的にチームメンバー全員へ新しいタイムラインについて通知を送信できます。また、時間と経費の追跡ソフトから得られた知見は、プロジェクト計画ソフトリソース管理ソフトに反映させることができ、プロジェクト計画の改善に役立ちます。

連携方法については、ネイティブに連携できる場合と、サードパーティのプラットフォームやオープンAPIを使用して連携できる場合があります。

プロジェクト管理ソフトの購入時に考慮すべき点

この記事は、プロジェクト管理スタックに組み入れる最も基本的なツールを紹介しました。スタックの構築を始めるための最初のガイドとしてぜひお役立てください。

最後に、以下のような要件を満たすかどうか確認した上で、各ソフトを十分に吟味しましょう。

連携 ネイティブに連携できるツールが理想的ですが、そうでない場合は、ZapierIFTTTAutomate.ioなどのサードパーティプロバイダーでAPI連携が可能かどうかを確認する必要があります。

API連携もできない場合は、ツール間の互換性を確認しましょう。例えば、さまざまなファイル形式に対応できれば、出力したファイルを読み込むことにより、データの移行が可能になります。

業種、プロセス、組織規模に特化したソフトウェア プロジェクト管理ツールを選ぶときには、自社の業界及び規模、また対象となるプロセスを考慮することが大切です。

例えば、進行中のプロジェクトが少ない中小企業であれば、プロジェクト計画ツールの中でもスタンドアロン型のガントチャートツールが最適かもしれませんし、多数のプロジェクトを抱える大企業であれば、プロジェクトポートフォリオ管理ソフトを使うのが良いでしょう。

同様に、特定の業界向けに設計されたプロジェクト管理ソフトもあります。ソフトウェア会社の開発チームは、バグ追跡システムを使用していることが多くあります。また、建設会社ではプロジェクトの費用やリソースを分析するために建築資材計算ソフトが導入されます。

競合他社のレビュー 過去にソフトウェアを使用したユーザーのレビューを参照することで、ソフトウェアのメリットやデメリットを具体的に理解できることができます。レビューを判断材料にすれば、迅速な決断、無駄なコストの回避につながります。

キャプテラのようなユーザー評価プラットフォームでは、検証されたレビューが数多く掲載れているので、ぜひご活用ください。ユーザーの職種、企業規模などの条件を指定して、レビューをフィルタリングすることもできます。

ソフトウェアの長期的な活用 最後になりますが、ソフトウェアを長期的にどのように活用していくのかについても検討することが大切です。ITチームやビジネスアナリストなどの重要なステークホルダーにも参加してもらい、検討しているツールが長期的に付加価値をもたらすかどうかを十分に考えましょう。

プロジェクト管理のソフトウェアをお探しですか? キャプテラのプロジェクト管理ツールのリストをぜひご覧ください。


注:本記事で紹介された製品は、各機能の例として取り上げられており、勧誘・推奨を意図したものではありません。掲載されている情報は、掲載時に信頼できると判断された情報源から入手されたものです。

この記事で言及されている製品、プログラム、サービスは、国によっては提供されていないか、法令や規制により制限されている可能性があります。製品の提供状況や、国・地域の法令遵守に関しては、ソフトウェア・プロバイダーに直接お問い合わせください。

筆者紹介

キャプテラのシニアコンテンツアナリスト。中小企業のためのリサーチとデジタル化を専門。メディアとコミュニケーションの修士号を取得。バルセロナ在住。

キャプテラのシニアコンテンツアナリスト。中小企業のためのリサーチとデジタル化を専門。メディアとコミュニケーションの修士号を取得。バルセロナ在住。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。

酒井アルベルト。マドリード・コンプルテンセ大学情報学部卒業。学術博士 (千葉大学)。NHK国際放送アナウンサー、琉球大学准教授を経て、現在はキャプテラにてシニアコンテンツアナリストを務める。技術・社会・ビジネスの観点からのコミュニケーションに関心がある。